2008 Fiscal Year Annual Research Report
心血管疾患発症リスク因子としての腎機能障害:地域住民での意義と検証
Project/Area Number |
20590836
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
中村 元行 Iwate Medical University, 医学部, 教授 (40172449)
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Keywords | 心筋梗塞 / 脳卒中 / リスク / 腎臓病 / 住民 / 健診 / 炎症 |
Research Abstract |
平成20年度に日本腎臓学会から報告された日本人を対象とした年令と血清クレアチニン濃度から求める糸球体濾過率(GFR)の算出式を使用し、本コホート対象者2.6万人分のGFR(ml/min/1.73m^2)を得た。平均GFRは男性で76.1+/-15.8、女性で75.3+/-15.3であり、女性で有意に低かった。慢性腎臓病(CKD)をGFR<60と定義すると本コホートの頻度は男性13.8%、女性12.3%であり、明らかに男性で頻度が高かった(p<0.001)。また、年齢別の頻度は65歳未満で、6.9%(男性6.4%、女性7.1%)であるのに対し65歳以上で19.1%(男性19.5%、女性18.8%)と高齢者で高頻度であった。また、CKD(GFR<60)と古典的リスク因子との関連を多変量解析にて検討すると年齢、BMI、LDLが高くなるとCKDになり易く、HbA1c、HDLが高くなるとCKDになりにくい結果となった。しかし、血圧値との関連は有意なものではなかった。 さらに、同コホートで以前に測定してある心血管疾患の新規リスク因子あるいはマーカーとされている高感度CRPとどのような関連性があるものかも検討した。その結果、血清CRP値上昇とGFR低下は従来からの危険因子で調整しても関連性がみられ(P<0.02),CKDの有無との間にも明らかな関連性がみられた(P<0.0001).よって、炎症はGFR低下とCKDへの進行に寄与する重要な因子である事が示唆された。
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