2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590839
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
城下 晃子 (竹下 晃子) Keio University, 医学部, 助教 (40276241)
|
Keywords | 医学 / 循環器・高血圧 / 心房細動 |
Research Abstract |
孤発性心房細動モデルとして心房高頻度刺激モデルを用いた。交雑犬を1)対照群、2)心房高頻度刺激群、3)心房高頻度刺激+カルベジロール投与群に分け、対照群を除いて2週間の心房高頻度刺激を行った上で電気生理学的検査を行い、心房細動(AF)に対するカルベジロールの有効性を検討した。2週間の高頻度刺激にともない、心房不応期は144±6msから98±6msへ有意に短縮し、またAFの持続時間は9±3秒から1098±430秒へと著明に延長、AF受攻性は6±4%から46±11%へ有意に増加した。カルベジロールを前投与した群においては、心房の不応期の短縮は減弱され(118±8ms)、AF持続時間(42±69秒)およびAF受攻性(17±11%)は、共に有意に抑制された。また、preliminaryな検討ではあるが、2週間の心房高頻度刺激にともない、血清中の酸化ストレスマーカーであるderivatives of reactive oxidative metabolites(DROMs)が増加し、カルベジロール投与群では、DROMsの増加が抑制された、という結果を得ている。αおよびβ遮断薬であるカルベジロールには、抗酸化作用・抗炎症作用を含む多面作用が示唆されているものの、その詳細はまだ明らかになっておらず、AFに対する有効性も不明であった。本研究では、イヌ孤発性AFモデルを用いて、AFに対するカルベジロールの有効性を示したとともに、その機序として酸化ストレスが関与していることを明らかにした。カルベジロールは、すでに臨床で使用されている薬剤であり、AFに対するアップストリーム治療としての有効性が示されれば、すぐに臨床の場に応用できるという意味で意義深いと考えられる。
|
Research Products
(1 results)