2010 Fiscal Year Annual Research Report
血中S100A12タンパク質の動脈硬化および心血管イベントへの関与に関する研究
Project/Area Number |
20590846
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
小崎 篤志 関西医科大学, 医学部, 講師 (40330188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 泰清 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (40268371)
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Keywords | 心血管イベント / 動脈硬化 / S100A12タンパク質 / 慢性腎臓病 |
Research Abstract |
申請者らはこれまで、および平成20年度に慢性腎不全による維持透析症例で血漿S100A12タンパク質濃度が2倍以上の上昇を認め、その中でも糖尿病性腎症症例においてさらに高値を示すことを発見しました。また糖尿病性腎症透析期を含む維持血液透析施行症例においては血漿S100A12タンパク質濃度と頚動脈内膜中膜複合体肥厚度(IMT)の間に有意な正の相関を認め、動脈硬化の増悪寄与因子としての血漿S100A12タンパク質の役割を新たに発見し報告いたしました。 従って、冠動脈・脳・四肢末梢などの血管障害(CVD)を合併しやすい糖尿病および慢性腎臓病(CKD)症例における血中S100A12濃度を測定し、血管合併症との関係を横断的研究(cross-sectional study)、後ろ向き研究(retrospective study)で検討し、次に冠動脈症候群などの心血管障害イベント発生への前向き研究(prospective study)を行い、血中S100A12タンパク質の血管障害イベントへの関与の有無を明らかにする事を目的に、これまでに臨床パラメーターとともにデータベースを作成しておりましたが、平成22年度に目標の800例に達し終了いたしました。また平成21年度登録までの550症例において横断的解析を行い、CVD合併の独立寄与因子をロジステック回帰分析で検討すると、血中S100A12濃度の上昇、糖尿病の合併、高感度CRPの上昇が有意な独立寄与因子でありました。また、非糖尿病患者群348名においても血中S100A12濃度の上昇は有意な独立寄与因子でした。以上より維持透析症例において血中S100A12が血管障害の危険因子である事が示唆され報告いたしました。
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