2009 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈不安定プラークの破綻予知と安定化治療戦略のためのイメージングシステム開発
Project/Area Number |
20590849
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
大倉 宏之 Kawasaki Medical School, 医学部, 准教授 (30425136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川元 隆弘 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30368667)
根石 陽二 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80319946)
吉田 清 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60322583)
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Keywords | 虚血性心疾患 / 動脈硬化 / 血管内超音波 / 血管内光干渉断層法 / 不安定プラーク / 急性冠症候群 / 糖尿病 |
Research Abstract |
虚血性心疾患患者を対象に冠動脈を血管内超音波法(IVUS)と光干渉断層計(OCT)によって観察し、冠動脈プラークの経時的変化を検討した。対象は冠動脈病変40病変であった。OCTにより線維性被膜の厚さを計測し、6ヶ月後に再検した。6ヶ月間の経過観察中に全体では線維性被膜の厚さや血管サイズに変化はなかったが、線維性被膜の経時的変化と血管サイズの経時的変化には負の相関関係が認められた。すなわち、経時的に線維性被膜が薄くなった例では血管径が拡大していたが、線維性被膜が厚くなった例では血管径が小さくなる傾向にあった。この経時的変化を糖尿病例と非糖尿病例との間で比較検討した結果、全体では線維性被膜の変化率に差はなかった。糖尿病例のうちピオグリタゾンで加療されていた例では線維性被膜の被薄化の程度は非糖尿病例と差を認めなかったが、ピオグリタゾンで加療されていない例では被薄化の程度は有意に強かった。今回の検討の結果から、プラーク不安定化の指標とされる、陽性リモデリング(血管が代償性に拡大すること)と線維性被膜の被薄化には関連があることが明らかとなった。不安定プラークではMMPs(Matrix metalloproteinase)が分泌され、その作用により線維性被膜が薄くなるとともに、血管が拡張すると報告されているが、本研究の結果はこの現象を初めて生体内で証明した点で意義あるものと考えられる。また、糖尿病例では急性冠症候群の頻度が多いが、ピオグリタゾン投与によりその頻度が少なくなったとの臨床研究の結果も、本研究による観察結果によって説明可能かもしれない。今後は、薬剤投与による不安定プラークの安定化を検証、証明することが次の課題である
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