2010 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈不安定プラークの破綻予知と安定化治療戦略のためのイメージングシステム開発
Project/Area Number |
20590849
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
大倉 宏之 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (30425136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川元 隆弘 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30368667)
根石 陽二 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80319946)
吉田 清 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60322583)
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Keywords | 冠動脈 / 不安定プラーク / 血管内超音波 / 光干渉断層法 |
Research Abstract |
虚血性心疾患における冠動脈の不安定プラークを血管内イメージシグシステムにより診断、将来の破たんの予知を行う方法を確立すべく本研究を行った。虚血性心疾患患者を対象に冠動脈を血管内超音波法(IVUS)と光干渉断層計(OCT)によって経時的に観察し、冠動脈の不安定化の過程を検討した。対象は36例の虚血性心疾患例の108冠動脈である。これらから58の冠動脈線維粥腫を選択し、IVUSにより外弾性膜断面積、プラーク+中膜断面積、内腔断面積、リモデリングインデックスを、OCTにより線維性被膜の厚みをそれぞれ計測した。6ヶ月後にこれらの病変に対して、IVUS, OCTを施行し、再度同様の計測を行って、これらの経時的変化を検討した。6ヶ月間の間に、IVUS, OCTの各指標には有意な変動は認められなかった。内腔断面積の変化率はプラーグ+中膜断面積の変化率と相関はせず、外弾性版断面積の変化率と有意な正相関を示した。このことは、冠動脈の内腔狭窄ぼプラークの増加よりも血管サイズの変化に影響されていることを示す。また、OCTによる線維性被膜の変化率は外弾性版断面積の変化率と有意な負の相関を示した。このことにより、冠動脈プラーグの不安定化(=線維性被膜の菲薄化)が陽性リモデリング(=血管サイズの拡犬)とリンクしていることが初めて生体内において証明された。おそらく、不安定プラークにおいて分泌されていると想像されるマトリックスメタロプロテアーゼが血管の中膜と線維性被膜の双方に作用することによって、これらの脆弱化を引き起こしているものであろうと想像される。
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