2010 Fiscal Year Annual Research Report
尿酸トランスポーター欠損マウスを用いた運動後急性腎不全の発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
20590965
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
市田 公美 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (80183169)
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Keywords | 腎臓学 / 尿酸輸送体 / URAT1 / 運動後急性腎不全 |
Research Abstract |
本研究の目的は、腎性低尿酸血症における運動後急性腎不全の発症メカニズムの解明である。現在、発症メカニズムとして、腎性低尿酸血症では尿酸排泄が亢進していることから、尿酸が尿細管で析出し、閉塞性腎障害をきたす可能性及び活性酸素のスカベンジャーである尿酸が少ないための活性酸素による腎障害の可能性の2つが指摘されている。本年度は血清尿酸値を調節したモデルラットを用いて活性酸素障害説の検証を行った。ラットは尿酸代謝酵素であるウリカーゼをもつために血清尿酸値はヒトより大幅に低い。よってウリカーゼ阻害剤であるオキソン酸(OA)3%含有飼料で8日間飼育を行った。その結果、OA添加飼料で飼育したラットは血中尿酸値が有意に上昇し、血中クレアチニン値・血中ナトリウム値などの腎機能指標は正常値を示すことが確認された。よってこの条件で飼育したラットを高尿酸モデル群とした。それに対し、通常飼料で飼育した健常ラットを低尿酸群として比較に用いた。活性酸素による腎障害は虚血再灌流(I/R)処置により再現し、処置後の腎機能を評価した。その結果、I/R処置により両モデルラットのクレアチニンクリアランスが低下し、腎障害を発症したことが確認された。しかし、高尿酸ラットのクレアチニンクリアランスは低尿酸ラットと比べ低下抑制傾向が見られた。また、腎障害マーカーKIM-1のmRNA発現量も低下を認めた。さらに組織所見上も高尿酸ラットでは障害が軽い傾向が見られたことから、血中尿酸はI/R処置による腎障害抑制に寄与することが示唆された。代表的な活性酸素消去剤であるエダラボン投与によっても同様に腎障害の抑制が認められたことから、尿酸が腎虚血による酸素ラジカル障害を軽減する作用を持つことが示された。
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