2010 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧の退行療法の確立とエピジェネティクス技術を用いた分子機序の検討
Project/Area Number |
20590984
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
篠村 裕之 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (00235293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40252457)
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Keywords | 高血圧 / 退行 / 糸球体硬化 |
Research Abstract |
これまでの研究で我々はアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の高用量一過性「パルス」投与が高血圧の退行に有効であることを示してきた。次に、このような治療が高血圧の合併症の一つである糸球体硬化の退縮に有効か否かを検討することを目的とした。実験にはFVB/Nマウスを用い、アドリアマイシン(ADM)を投与し、糸球体硬化を惹起した。糸球体硬化が確立した時から各種濃度のARB(カンデサルタン0-50mg/kg/day)を2週間投与し、各時点での蛋白尿・糸球体硬化・IV型コラーゲン沈着・MMP活性の変動等を解析した。更にDoxycycline(MMP阻害剤)とARBの同時投与、及びMMP-2 KOマウスを用いて、MMPの関与を検討した。その結果、ARB高用量投与により蛋白尿の減少および糸球体硬化の改善と共に糸球体MMP-2活性の上昇を認めることが明らかとなった。ARB高用量投与による糸球体硬化の退縮効果はDoxycyclineの併用及びMMP-2KOマウスで一部抑制された。また、培養糸球体上皮細胞にAIIを添加すると上清のMMP-2活性の低下傾向、ARBで有意な上昇が見られたが培養メサンギウム細胞ではそのような変化を認めなかった。 以上の結果より、高血圧の退行に有効であるARB高用量パルス療法は、高血圧の重要な合併症の一つである糸球体硬化の退行にも有効であることが示され、またその分子機序にはMMPの発現誘導が関与している可能性が示された。
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