2009 Fiscal Year Annual Research Report
前海馬台、傍海馬台領域における神経結合関係の形態学的解析
Project/Area Number |
20591032
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
本多 祥子 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 講師 (40287313)
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Keywords | 記憶 / 前海馬台 / ウイルスベクター / GFP / 単一神経細胞 / 軸索 / 内側嗅内野 / 脳梁膨大後部皮質 |
Research Abstract |
記憶形成回路では、様々な感覚情報が超連合野である嗅内野に集まり、海馬体に送られ記憶情報として処理された後、再び嗅内野に戻ることが知られている。前海馬台は海馬体からの記憶情報が嗅内野へ戻る経路の途中に位置する領域であり、記憶情報に何らかの修飾を加えている可能性が示唆される。前海馬台の機能を解明する目的で、我々はこの領域の特徴的な皮質結合関係、即ち嗅内野、海馬台、他の海馬周辺皮質との線維連絡および前海馬台内部結合に注目し、部位・層レベルで解析を行ってきた。本年度はGFP発現ウイルスベクター注入法を用いて前海馬台各層における様々な単一神経細胞の軸索分岐様式の形態学的解析を行った。麻酔下でラット前海馬台にウイルスベクター濃縮液を注入し、生存期間を置いて脳を灌流固定後、海馬長軸直交断連続切片を作成した。抗GFP抗体を用いてGFP発現細胞の突起全体を可視化し、これを顕鏡下でトレースし立体再構築した。前海馬台II層では単一神経細胞からの多数の分岐が全て前海馬台内部の各層に向かう様子が認められた。III層では単一神経細胞の軸索側副枝が同側内側嗅内野と共に前海馬台深層へも終止し、一部は海馬台や反対側皮質領域へも投射していた。V層の単一神経細胞の軸索側副枝は大部分が脳梁膨大後部皮質へ終止するが、一部の細胞では側副枝が海馬台または後頭皮質へも伸びていた。結果として、前海馬台各層の内部には様々な軸索分岐様式を持つ皮質投射細胞が含まれていることが明らかになった。
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