2010 Fiscal Year Annual Research Report
前海馬台、傍海馬台領域における神経結合関係の形態学的解析
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20591032
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
本多 祥子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40287313)
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Keywords | 記憶 / 前海馬台 / ウイルスベクター / GFP / 単一神経細胞 / 軸索 / 内側嗅内野 / 脳梁膨大後部皮質 |
Research Abstract |
記憶形成回路では、様々な感覚情報が嗅内野から海馬体に送られ記憶情報として処理ざれ再び嗅内野に戻ることが知られている。前海馬台は海馬体からの情報が嗅内野へ戻る経路の途中に位置し、記憶情報に何らかの修飾を加えていると考えられている。特に前海馬台V層には近年Head-direction cellが発見され、空間認知・記憶への機能的関与が示唆される。前海馬台の機能を解明する目的で、我々はこの領域の皮質間結合関係、即ち嗅内野、海馬台、脳梁膨大後部皮質等との線維連絡を部位・層レベルで調べてきた。今年度はGFP発現ウイルスベクター法を用い、前海馬台V層の単一皮質投射ニューロンからどのような皮質領域に軸索側副枝が送られているのかに注目し軸索形態解析を行った。麻酔下でラット前海馬台にウイルスベクターを注入し、生存期間を置いて脳を灌流固定後、海馬長軸直交断連続切片を作成した。抗GFP抗体を用いてGFP発現細胞の突起全体を可視化し顕鏡下でトレースして立体再構築した。結果として個々の前海馬台V層細胞は、複数の反回側枝と共に一種類もしくは二種類の皮質領域に軸索側副枝を送ることが明らかになった。これらのニューロンは軸索分岐パターンから1)脳梁膨大後部皮質と傍海馬台、2)脳梁膨大後部皮質と海馬台、3)内側嗅内野と海馬台、4)脳梁膨大後部皮質のみ、5)海馬台のみ、6)前海馬台内部のみに軸索を送る6タイプに分類することができた。本研究により前海馬台V層に存在する様々な投射様式のニューロンが初めて明らかになった。
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