2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼ1の造血系および免疫系調節機構における生理的重要性
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20591275
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小泉 晶一 Kanazawa University, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (50019973)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / 炎症 / 骨髄移植 / 乳児白血病 / 内皮細胞 / 血管炎 / GVHD / 腎尿細管 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)はヘムを一酸化炭素(CO)とビリルビンとフェリチン(Feより誘導される)に代謝する律則酵素である。われわれが世界で初めて発見した「ヒトHO-1欠損」症例(1999)は2歳頃からの全身性慢性炎症が増悪し,6歳で死亡した。本症例のこれまでの詳細な病態解析とin vitro実験的研究によって、HO-1の、生体へのストレス防御因子としての役割を解明し、下記の研究成果を得た。 (1)患児の生検材料やリンパ球細胞株でHO-1の発現が認めらないことと、HO-1遺伝子の異常から本疾患が確立された。(2)HO-1欠損症の臨床特徴は、主として造血系単球と血管内皮細胞及び腎尿細管細胞の障害に起因する。(3)HO-1欠損症では、外因性酸化ストレスによって、全身性炎症と凝固線溶系の著しい亢進を惹起し、ストレスが長期に継続すると、免疫系や凝固線溶系が消耗、破壊される。(4)単球細胞表面抗原の異常、貪食能の低下が認められた。また、CD16high/CCR2-の細胞亜群にHO-1発現が強く、この細胞群の動態は細菌性感染症とウイルス性感染症で異なっていることから、単球のHO-1発現が各種感染症の病態表現に深くかかわっていることが示唆された。さらに、単球のHb/Hp/CD163コンプレックスがHO-1誘導と強く相関することがわかった。(5)各種腎疾患の生検材料、及びin vitro細胞株の検討から、HO-1は腎尿細管上皮がストレス防御に有効に働いていることが強く示唆された。さらに尿沈さ細胞中のHO-1濃度測定は、腎尿細管傷害を観察する非侵襲的な方法として有用であろうと思われた。(6)IL17が骨髄移植後の慢性GVHDを憎悪させる可能性を、IL17ノックアウトマウスを用いた移植実験で示した。(7)乳児白血病のCD10表面抗原陰性例では広範な遺伝子メチル化が関与していることが知れた。 以上、HO-1欠損症の詳細な検討は、システミックな炎症発症、発癌における新しい病態機序の解明に役立ち、そして、新しい治療法の開発に繋がるかも知れない。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Detection of T lymphocytes with a second-site mutation in skin lesions of atypical X-linked severe combined immunodeficiency mimicking Omenn syndrome.2008
Author(s)
Wada T, Yasur M, Toma T, Nakayama Y, Nishida M, Shimizu M, Okajima M, Kasahara Y, Koizumi S, Inoue M, Kawa K, Yachie A
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Journal Title
Blood 112
Pages: 1872-1875
Peer Reviewed
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[Journal Article] 腎性低尿酸血症を伴わなかった運動後急性腎不全(ALPE)の1例2008
Author(s)
横山忠史, 清胃水正樹, 小泉晶一, 龍泰治, 古市賢吾, 和田隆志, 大田和秀, 長沖優子, 伊川泰広, 和田英男, 貝藤裕史, 野津寛大
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Journal Title
日本小児腎不全学会雑誌 28
Pages: 205-207
Peer Reviewed
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