2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸素感受性蛋白質の発見に向けて-プロテオミクス解析からのアプローチ-
Project/Area Number |
20591288
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
勝部 康弘 Nippon Medical School, 医学部, 准教授 (20246523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 俊一 日本医科大学, 医学部, 教授 (50194436)
浅野 健 日本医科大学, 医学部, 准教授 (70277490)
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Keywords | 酸素感受性 / 蛋白質 / プロテオミクス / プロテインチップ / 動脈管 |
Research Abstract |
【背景】動脈管は低酸素状態で開き,酸素分圧の上昇に反応して閉じる.その反応は成熟仔でより顕著である.一方,末梢肺動脈は酸素分圧の上昇に反応して拡張する.このように酸素分圧あるいは発達の違いにより酸素に対する反応が異なる.これまで研究では細胞膜のKチャネル,Caチャネル,細胞質の筋小胞体,筋原線維のCa感受性などの違いが論じられているが,プロテオミクス解析を応用した研究は十分なされているとは言えない.【目的】動脈管における酸素感受性に関わる蛋白質をプロテオミクスの手法により網羅的に探索し,同定された蛋白質の相対定量解析を行うことを目的とする.【方法】家兎の妊娠23日胎仔30匹(平均体重:11.9g),30日胎仔25匹(平均体重:49.4g)から動脈管組織を,生後2日新生仔7匹(平均体重:49.8g)から第3分枝以降の末梢肺動脈組織を取り出し,組織蛋白抽出試薬(PIERCE)を加えホモジェナイスし,10,000g×5分間遠心した後の上清を回収する,得られた蛋白質に対しiTRAQ 2D-LC-MS/MS法による質量分析を行った。【結果】同定された蛋白質総数は202であった.胎仔動脈管組織の発達による蛋白質発現の差(30日胎仔動脈管/23日胎仔動脈管)が2以上であった蛋白質が25種同定された.逆に,血管組織による蛋白質発現の差(生後2日新生仔末梢肺動脈/30日胎仔動脈管)が0.5以下であった蛋白質は23種同定された.このうち16種の蛋白質は共通した蛋白質であった.【まとめ】酸素感受性に関わる蛋白質の探索を目的に、プロテオミクス手法により検討した.成熟動脈管組織で多く発現し,末梢肺動脈組織で発現が少ない16種の蛋白質同定された.これらが酸素感受性蛋白質の今後の研究ターゲットとなる可能性があり,今後さらに詳細な検討を加えていく.
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