2010 Fiscal Year Annual Research Report
健常人における脳内セロトニン神経系に関する統合的データベースの作成
Project/Area Number |
20591382
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
高野 晴成 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (30348792)
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Keywords | 脳・神経 / セロトニン / 脳画像 / 放射線 / うつ病 |
Research Abstract |
脳内セロトニンは気分、感情、衝動性、食行動、睡眠などの様々な精神機能に重要な役割を果たしており、気分障害を初めとした精神疾患の病態に密接に関与していることが示唆されている。また、セロトニン神経系は多くの抗うつ薬や抗不安薬の作用点でもあり、これらの向精神薬の作用機序の解明にも人間を対象とした研究が望まれる。そこで、ヒト生体における脳内セロトニン神経系の解剖学的および機能的局在を検討するために、Positron Emission Tomography(PET)を用いてセロトニン神経に関する統合的なデータベースを作成している。健常男性を対象に、同一個人においてセロトニン・トランスポーター(5-HTT)測定用放射性リガンド[^<11>C]DASBおよびセロトニン1A(5HT1A)受容体測定用放射性リガンド[^<11>C]WAY-100635によるPET検査を施行した。個々の被験者のPET画像データを、各個人のmagnetic resonance imaging(MRI)形態画像を参照して解剖学的標準化を行った。次に、小脳を参照領域として5-HTTおよび5HT1A受容体の結合能(BP_<ND>)をそれぞれ計算し、パラメトリック画像を作成した。その結果、5HTTのBP_<ND>は線条体、縫線核、視床で相対的に高く、大脳皮質、辺縁系で低かった。一方、5HT1A受容体のBP_<ND>は海馬で相対的に最も高く、前部帯状回、大脳皮質、縫線核、線条体で中等度であり、視床で低かった。これらは過去の死後脳研究での分布と概ね一致していたが、PETの分解能の限界から相対的に低い値にとどまっているものもあった。また、帯状回、島、前頭葉、側頭葉、頭頂葉などの脳部位において、5-HTTと5HT1A受容体のBP_<ND>の間に逆相関の関係がみられ、両者はそれらの部位で相補的に機能している可能性が示唆された。
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