2010 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症モデル動物および死後脳における神経病理学的検討
Project/Area Number |
20591400
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
入谷 修司 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (60191904)
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Keywords | 統合失調症 / モデル動物 / 神経病理 / 免疫組織学 |
Research Abstract |
統合失調症は、高い罹患率の疾患であるにもかかわらずいまだその病因、病態に関しては不明なことが多い。現時点では病因として、神経発達障害仮説が支持されている。この疾患の背景には胎生期以降の神経発達の障害がありその後の神経可塑性にも問題があるという仮説である。ゲノム研究から見いだされた多くのリスク遺伝子が神経の分化や伸長に関係することが示され、一方、神経画像研究などの報告では、この疾患が持続的に脳の形態に変化をきたしている事実等は、この仮説を支持している。しかしながら、脳臓器としての神経病理学的な病態解明についてはいまだ十分に検討されていない。今回の研究の目的は、この疾患の神経病理学的側面からの病態解明である。本研究は、ゲノム研究の成果と神経画像および神経病理学研究成果を架橋しうる、従来になかった独創的研究である。このような背景のもと、神経病理学的な変化についての疾患特異性の明確化のために、まず始めに病態の生物学的な背景が分かっている疾病モデル動物を対象とした。疾病モデル動物として1)PCP投与マウス、2)14-3-3εKOマススを対象として主に神経伝達にかかわるタンパクについて免疫組織学的にその形態学的変化を観察/検討した。さらには疾患ヒト死後標本の観察も同時におこない、モデル動物脳での観察事実が実際のヒト疾患脳で確認できるかを検討することを目的とした。その結果、モデル動物で対照動物と比較して神経ネットワークの形成不全や、神経修飾タンパクの発現の変化が確認できた。また疾患ヒト死後脳においても、モデル動物でみられたと同様な現象が観察された。これら事実はこの疾患の神経発達障害仮説を支持し、その仮説の一側面が明らかとなった。
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Research Products
(10 results)