2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591471
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松下 昌之助 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (70359579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 謙 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60192085)
兵藤 一行 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 講師 (60201729)
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Keywords | 放射光 / 単色X線 / HARP受像管 / 造影剤 / 血管造影 / ラット / 希釈造影剤 / 造影剤腎症 |
Research Abstract |
放射光由来の単色X線を用いた放射光血管造影システムに、高感度のHARP受像管を用い、希釈造影剤が有効に撮像できるかどうか、平成20年度に検討した。高感度受像管であるHARP受像管は光を電気に変換する光電変換膜にアモルフォスセレンを基盤とした特殊材料を用い、なだれ増倍現象で信号を増幅することにより、通常のCCDカメラより100倍の高感度化が可能である。その結果4倍希釈(8%造影剤)まで、従来の32%造影剤とほぼ同等の血管造影画像を得ることができた。平成21年度は、高感度性をさらに高めるため、放射線を可視光化した後の光の伝達法を従来の「レンズカップリング法」から光ファイバーを用いた「FOP法」に変え検討した。その結果S/N比がさらに改善し、増幅効果+S/N比向上の相乗効果が得られ希釈造影剤のさらなる高希釈化の技術的基盤に進歩がみられた。一方、同法を用いて、ラットの腎臓の造影を行った。希釈造影剤と非希釈造影剤の腎機能あたえる影響を動画像として(機能的に)評価するために、ラット腎集合管の造影剤移動が撮像可能かどうか検討した。その結果、希釈造影剤を想定した造影剤の経静脈投与であっても、個別の腎集合管の同定とその造影剤の移動時間、濃度変化の検討が可能であった(n=6)。平成22年度は、FOP-HARP受像管のphotoconductive systemの最適化をさらに測った。その結果、蛍光板を通常1/6に縮小すると、FOP-HARPにphoton情報を引き継ぐことが最適になることが判明した。これを用いて造影剤を順次負荷しながら、尿細管-集合管撮像を行った。集合管の造影剤蓄積度は1本つつ分別可能であり、将来、造影剤を用いた治療を行いながら、リアルタイムに腎尿細管-集合間の造影剤蓄積を高感度で観察することにより造影剤の使用限界を認識できるシステムの構築が可能であることが示唆された。
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