2008 Fiscal Year Annual Research Report
サイクリン依存性キナーゼ阻害剤の放射線感受性増強とその分子メカニズム
Project/Area Number |
20591497
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
窪田 宜夫 Ibaraki Prefectural University of Health Science, 保健医療学部, 教授 (20046139)
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Keywords | CDK阻害剤 / Sufforaphane / 放射線増感 / アポトーシス / DNA修復阻害 |
Research Abstract |
異常な増殖をする悪性腫瘍では、様々な種類の癌においてCDKの異常な活性化が認められている。CDKは細胞周期進行のエンジンともいえることから、CDKが癌治療の制癌剤の標的として注目され、CDK阻害剤の創薬研究が進められてきた。本研究では、CDK阻害剤と放射線との併用効果について、ヒト腫瘍由来の培養細胞を用いて調べ、放射線増感効果のメカニズムについて分子生物学的な検討を進めた。研究はまずsulforaphane(SFN)について単層培養で放射線との併用効果について調べた。SFNとは、ブロッコリーに含まれるイオウ化合物がある種の酵素との化学反応によって生成される成分であり、このイオウ化合物は、ブロッコリーをはじめ、キャベツ、カリフラワー、かいわれ大根などのアブラナ科の野菜にだけ含まれるグルコシノレートという成分である。今回の我々の研究で、ヒト腫瘍細胞に対してSFNは射線増感効果が観察され、その放射線増感効果のメカニズムには、アポトーシスの感受性の増強と放射線照射により誘発されるDNA二重鎖切断の修復系であるNHRJとHRRの両者がSFNにより阻害されることが示された。またin vivo実験系のヌードマウスを使った放射線とSFNの併用実験でも、併用効果が示された。 さらに、SFNと近縁のイソチオシアネートの一種であるベンチルイソチオシアネートと放射線の併用効果について、ヒト膵臓癌細胞で検討し、放射線増感効果を見出し、それにはアポトーシス誘発が強く関与していることを見出した。現在、その分子メカニズムについて詳細に検討を進めている。
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