2009 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍に対する放射線治療効果を血漿中腫瘍細胞DNAの経時的定量によって早期判定する
Project/Area Number |
20591499
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大村 素子 Yokohama City University, 医学部, 准教授 (70244506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
康 芸 横浜市立大学, 医学研究科, 特任准教授 (60332607)
幡多 政治 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (60285145)
小池 泉 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (00295495)
井上 登美夫 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (80134295)
市川 靖史 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (70254208)
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Keywords | 放射線治療 / 血漿DNA |
Research Abstract |
我々は今までに放射線治療開始後、数日以内に、患者血漿中cell-free DNAが増加した後、漸減することを見出した。そこで、「放射線感受性が高い腫瘍ほど治療早期から腫瘍細胞が崩壊、これに伴い腫瘍細胞中のDNAが血漿中に流出、ついで早期に減少、消失していく」という仮説を立て、血漿中DNAの治療開始後の変動の解析によって、放射線治療の効果を早期に予測する方法を検討している。平成21年度は腫瘍モデル動物による実験を行った。ヒト肺癌由来SQ5細胞およびA549細胞をマウス大腿部に移植し腫瘍を形成させた。マウス血漿中の腫瘍細胞特異的DNA(ヒト細胞由来DNA)を、経時的に測定した。腫瘍直径が約8-10mmに達した時期に、リニアックを用いて、15Gyおよび22.5Gy/1回の放射線照射を行った。1)各線量において、放射線照射後の腫瘍体積の変化と、腫瘍特異的DNAの経時的変化は連動していた。つまり、照射後一時的に抑制され、再び増加傾向を示した。2)最終観察日(照射後21日目)の腫瘍体積、腫瘍が500mm^3になるまでに要する日数、腫瘍特異的DNA量は照射線量によって有意差があった。3)個々の腫瘍マウスにおいて、最終観察日の腫瘍特異的DNA量と、同時期の腫瘍体積および腫瘍体積が500mm^3になるまでに要する日数を比較したところ、それぞれ相関関係が認められた。4)照射直後数目以内に腫瘍特異的DNAが急激に増加するピークがあり、最高で照射直前のDNAの16倍まで上昇した。照射直後に急速な腫瘍崩壊がおき、腫瘍細胞DNAが血中に大量に逸脱するためと考えられた。22.5Gy照射群では15Gy照射群に比べて、腫瘍特異的DNA値の急激な上昇(ピーク)を示す例が多かった。以上より、腫瘍の大きさと血漿中DNAの変化が連動しており、放射線照射による抗腫瘍効果を反映している可能性がある。今後は臨床試験に移行する。
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