2009 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌の血清遊離DNA断片を標的とした新しい悪性度診断法の基礎的臨床的検討
Project/Area Number |
20591558
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小澤 壮治 Tokai University, 医学部, 教授 (10169287)
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Keywords | 血清DNA / 核酸 / 腫瘍マーカー / 血行性転移 / 消化器癌 |
Research Abstract |
【目的】われわれはヒト大腸癌移植ヌードマウスを用いて消化器癌における遊離DNA断片の長鎖と短鎖の比に関する基礎的な検討を行った。 【材料と方法】ヒト大腸癌細胞株(WiDr)移植ヌードマウスモデルの作成をした。自然経過群は癌移植後に、腫瘍切除群は両側腹部に癌を移植し腫瘍の片側を切除し1週後に採血を行った。化学療法群は腫瘍を形成後に5-FUを腹腔内投与し、抗腫瘍効果を確認し採血した。血清中遊離DNA断片の測定は採取した血液からDNAを抽出し、Alu115とAlu247のprimerを用いてReal Time PCRを行った。Alu115とAlu247のDNA量を定量し、 Alu247/Alu115DNA比を算出し、「200bp/160bp DNA割合」(DNA integrity)とした。2群間の比較にはMann-WhitneyのU検定を用いp<0.05を有意差ありと判定した。 【結果】自然経過群では腫瘍増大に伴うDNA integrityは癌接種1ヶ所群と2ヶ所群のでは両群に差は認めなかった。腫瘍切除群でも切除しない群との差はなかった。化学療法群において100mg/kg投与群ではコントロール群に比較し上昇を認めた(p=0.029)。 【考察】ヌードマウスにおいて腫瘍増大に伴うDNA integrityの増加が予測されたが、コントロール群との差はなかった。この理由としてヌードマウスの皮下に移植された腫瘍が膨張性に増大し、浸潤性には増殖しないため腫瘍壊死がおこりにくいと推察された。化学療法群においてDNA integrityは上昇を認めたことより、腫瘍が化学療法によって壊死を伴い縮小することで血清中の長鎖DNAの割合が増加することが示唆された。【結論】血清の「200bp/160bpDNA割合」はマウスにおいて化学療法における効果判定の有用性が示唆された。
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Research Products
(1 results)