2010 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌の血清遊離DNA断片を標的とした新しい悪性度診断法の基礎的臨床的検討
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20591558
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
小澤 壮治 東海大学, 医学部, 教授 (10169287)
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Keywords | 血清DNA / 核酸 / 腫瘍マーカー / 血行性転移 / 消化器癌 |
Research Abstract |
【はじめに】大腸癌に対する治療において早期発見の困難や局所再発や多臓器転移が問題となる。その原因として微小癌の早期発見が容易ではないことが挙げられる。末梢血液中のいくつかの癌関連核酸異常を検出できれば、画像上捉えられる以前に微小大腸癌の早期発見が可能となる。血清中の癌細胞由来の遊離DNA断片が悪性腫瘍の診断のバイオマーカーになりうると考え、大腸癌における遊離DNA断片に関する臨床的意義について検討した。 【目的】大腸癌患者の血清中に存在する「遊離DNA断片の長鎖と短鎖」をAlu DNA配列(Alu247とAlu115)で解析し、「遊離DNA断片の長鎖と短鎖の比率(Alu247/Alu115 ratio)」が臨床腫瘍学的因子と関連するかを明らかにする。 【対象と方法】2008年2月から2009年12月までに手術を行なった初発大腸癌60例、健常者24例を対象とした。手術1週間前に採血を行ない、全血から血清を分離後にDNAを抽出した。real time PCRにより測定したAlu247とAlu115のDNA量を用いてAlu247/115 ratioを算出した。健常者とDukes分類、壁深達度、分化度、リンパ管侵襲の有無、静脈侵襲の有無、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無などについて比較検討した。統計には一元配置分散分析、T検定、χ二乗検定を用いた。 【結果】健常者とDukes分類(A+B)とDukes分類(C+D)、リンパ節転移の有無で差を認めた。ROC曲線にてAlu247/Alu115 ratioのcut off値を0.135に設定すると、Alu247/Alu115 ratioはCEAとCA19-9より、高感度に癌か非癌かを鑑別することが可能であった(P<0.001)。 【結論】Alu247/Alu115 ratioは癌か非癌かの鑑別に有用である。癌の診断能はAlu247/Alu115 ratioはCEAやCA19-9より高いと考えられた。
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Research Products
(2 results)