2009 Fiscal Year Annual Research Report
肥満外科手術の糖尿病改善効果の基礎的検討:難治糖尿病を手術で治す時代に向けて
Project/Area Number |
20591586
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鹿郷 昌之 Tohoku University, 病院, 助教 (30455779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 近 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30270804)
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Keywords | 胆汁 / 消化管運動 / 消化管ホルモン |
Research Abstract |
【背景・目的】胆汁・膵液の流入部位と消化管運動との関係についての基礎的検討は不十分であり,不明な点が多いため検討する.【対象を方法】ビーグル成犬を用いた.胃前庭部,十二指腸,近位空腸(Treitz靭帯より10cm),遠位空腸(Treitz靭帯より100cm)に運動測定用のStrain gauge force transducerを縫着した.control群(CTL),総胆管を結紮して胆嚢回腸吻合を施行したbiliary diversion群(BD),十二指腸を切離再吻合したsham手術群(SO)をそれぞれ5頭作製し,空腹期強収縮(MMC)の頻度と伝播速度,食後期収縮のmotility index,食後期持続時間を測定,検討した.また採血を行い血糖値とInsulin, Gastric inhibitory polypeptide(GIP), Peptide YY(PYY)の濃度を測定した.【結果】空腹期においてはBDでCTL,SOど比較してMMC頻度の減少,伝播速度の遅延が認められた.また食後期には,BDでCTL,SOと比較して食後期のmotility indexの低下,食後期収縮持続時間の延長が認められた.血糖値はBDで食後低い傾向にあり,GIP濃度はBDで有意に低かった.PYY濃度はBDで高い傾向にあった.【結語】胆汁を回腸へ流入させた場合に空腹期,食後期ともに消化管運動の変化が大きかった.胆汁が上位空腸をバイパスしたことによるGIPのホルモン分泌減少,および回腸末端から分泌されるPYY,同様の動態をしめすGLP-1の分泌を刺激したことが消化管運動,糖代謝に影響を与えたと考えられる.
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