2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌発生におけるWNT受容体FZD10の関与の解明
Project/Area Number |
20591589
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長山 聡 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (70362499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 義治 京都大学, 医学研究科, 教授 (60273455)
戸口田 淳也 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (40273502)
久保 肇 京都大学, 医学研究科, 講師 (50362520)
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Keywords | FZD10 / 大腸癌発生 / 大腸癌肝転移 / 抗体療法 |
Research Abstract |
大腸腺腫、大腸癌及び大腸癌肝転移巣の切除標本を用いて、これらの病変におけるFZD10蛋白発現状況を、免疫組織学的染色にて検討し、以下の結果を得た。 1.正常大腸粘膜、正常肝組織での発現は認められず、腫瘍特異的にFZD10の発現が認められた。 2.大腸腺腫と大腸癌が並存する症例での比較検討では、大腸腺腫での発現頻度は低く(3.3±10.3)、大腸癌にて発現頻度(20.5±31.7)が有意に増加した(P=0.0016, paired t-test)。 3.同一症例における大腸癌の発現頻度(27.1±36.1)は肝転移巣の発現頻度(23.3±32.1)と有意差は認めなかった(P=0.2014, paired t-test)。また、原発巣と転移巣との発現頻度には正の相関が認められ(Pearson coefficient=0.9014)、肝転移巣での発現状況は原発巣での発現状況をほぼ反映していると考えられた。 4.β-cateninの発現状況とFZD10発現との相関を検討したところ、β-cateninの発現異常あるいは核移行とFZD10発現との間には明らかな相関は認められなかった。 大腸癌発癌モデルとしてadenoma-carcinoma sequenceを想定した場合、FZD10は癌発生の初期の段階、特に腺腫から癌への進展に関与していることが示唆された。また、原発巣と肝転移巣との発現状況が類似していたことから、大腸癌肝転移に対する抗FZD10抗体による治療を想定した場合、外科的切除した原発巣から転移巣の発現状況が類推でき、抗体療法によって効果の期待できる患者を選出することが可能と考えられる。0方、細胞内シグナル伝達経路に関しては、β-cateninを介してシグナル伝達を行なう、canonical pathwayへFZD10が直接関与する可能性は低いことが示唆された。
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Research Products
(2 results)