2008 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌の Mesenchymal Transition 機序の解明
Project/Area Number |
20591603
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高村 博之 Kanazawa University, 附属病院, 助教 (40377396)
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Keywords | 肝細胞癌 / Mesenchymal transition |
Research Abstract |
治療後の肝内局所再発でしばしば見られる肝細胞癌の治療抵抗性への形質転換(高度な浸潤・転移・増殖能の獲得)であるEpithelial Mesenchymal Transition (EMT)を,臨床検体を用いて明らかにするとともに,さらにin vivo実験系を用いてHCCのEMTに関する分子メカニズムの解明(TGF-β系,Hsp90系,Thrombin-PAR系,CD133 positive cancer stem cellとの相互関係の解析)を行い,それを防止するための分子標的を明らかにするとともに,CD-133 positive cellのcancer stem cellとしての役割についても明らかにする. 【平成20年度研究内容】肝細胞癌(HCC)の臨床検体を用いた, RFA・TAE治療後局所再発巣の形質転換の(Epithelial Mesenchymal Transition: EMT)の免疫組織学的評価を行った.その結果, RFA後の局所再発巣はRFA前の病理組織像と比べて分化度が低く,時に肉腫(間葉系細胞)様の形態を呈し,一部ではα-SMA, Vimentin, N-cadherin, β-cateninなどの間葉系のmarkerを発現していることが明らかとなった.また浸潤転移部でのTGF-β系の発現低下,SDF1の発現低下とそのreceptorであるCXCR4系の発現亢進が確認された.また, hypoxia stressに関連するHIF-1αの発現亢進も認められた.現在,肝細胞癌(HCC)cell lineに対する熱およびhypoxia処理によるTGF-β系やHsp90系の情報伝達系の発現状況の変化を評価している.肝細胞癌の培養細胞を43℃60分以上のheat stressやhypoxia stressをかけた後に一定時間培養し, Hsp90系やTGF-β系の情報伝達系の発現や細胞形態系にどのような変化が認められるかを,無処理細胞の(negative control)と比較検討するとともに,EMTやhypoxia marker系の発現を詳細に検討している.
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