2008 Fiscal Year Annual Research Report
肝再生早期におけるカルシトニンの役割とその分子機構
Project/Area Number |
20591606
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横山 幸浩 Nagoya University, 医学部附属病院, 助教 (80378091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梛野 正人 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20237564)
西尾 秀樹 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30345897)
江畑 智希 名古屋大学, 医学部付属病院, 講師 (60362258)
國料 俊男 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特任助教 (60378023)
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Keywords | カルシトニン |
Research Abstract |
本研究の予備実験において、再生中の肝臓ではカルシトニンの遺伝子発現が正常の20倍近くまで亢進していることが示された。これは従来肝再生に重要といわれている因子であるIL-6,TNF-α,HGFなどの発現亢進の数倍にも及ぶ。この観察結果は、肝再生にカルシトニンが重要な役割を担っていることを強く示唆する。 ラット70%肝切除モデルを用い、1時間、6時間、12時間、1日、7日、14日のtime courseで追跡した結果、24時間後より肝重量の増加を認めた。Real time PCRでは肝切除1時間後には残存肝内においてカルシトニン遺伝子の強発現を認め、12時間後にピークに達し48時間後でも持続していた。これに相関し血清中のカルシトニン濃度は6時間後より上昇を認め12時間後にピークに達する一方、血清中カルシウム濃度は6時間後より低下し12時間後には最低値を示していた。 Immunohistochemistryでは肝切除12時間後の残存肝細胞内にカルシトニン抗体陽性の肝細胞を認めた。これは上記結果を裏付けた世界で初めての研究成果であり、肝再生時におけるカルシトニンの重要性と、肝細胞の関与を強く示唆する結果であった。 本研究では、カルシトニンが肝再生のトリガーとして非常に重要であることが示された。これは血中カルシトニン濃度および血中カルシウム濃度の肝再生に及ぼす影響あるいは肝におけるカルシトニンレセプターの発現の有無が肝切除後肝再生率を予測する指標となりうることを示す。これらの因子を薬物的に調整することにより、患者に至適な肝再生環境を作り上げることが可能となり、臨床応用された場合の恩恵は大きいと考えられる。
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