2008 Fiscal Year Annual Research Report
クモ膜下出血後の脳血管攣縮に対する蛋白リン酸化酵素Cをターゲットにした創薬の研究
Project/Area Number |
20591699
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
西澤 茂 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 教授 (40135257)
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Keywords | クモ膜下出血 / 脳血管攣縮 / 蛋白リン酸化酵素C / アイソフォーム / 創薬 |
Research Abstract |
われわれはこれまでの実験結果から、クモ膜下出血後の脳血管攣縮発生、維持に血管平滑筋細胞内の蛋白リン酸化酵素C(PKC)、なかでもそのisoformであるPKCδとPKCαの両者が重要な働きをしていると報告、その両者の阻害剤であるM-62885という化学物質が脳血管攣縮の予防ならびに治療に効果があると考え、この物質を含有するpelletを作り、動物実験モデルに使用して、われわれの仮説を検証することを本研究の目的とした。平成20年度に行う実験計画では、M-62885を含有するpelletを作成し、pelletからのM-82885のreleaseの程度を確認することにあった。しかし、本年度にこの実験を数多く行ったが、まだ実際の動物モデルに使用できるようなpelletが作成できない状況である。これは、作成したpelletから期待していたようにM-62885がreleaseできないためである。その主な原因は、pelletの構造によるところが大きく、pelletに使用している膜のporeが空き過ぎるのか、膜の化学的特性によるのではないかと考え、その原因を検討するともに改良作業には入っているところである。もう少しその完成に時間を要する。 この間、M-62885で治療実験を行い、摘出してあった犬脳底動脈を用いて、PKCδ、PKCαの発現をWestern blottingで再度検証して、治療群ではコントロール群(未治療群)に比較して有意に両者とも発現量が低下していることを確認し、われわれの仮説が正しいことを再度検証する実験を行った。また免疫染色で、治療群では、コントロール群でおこる平滑筋細胞の形質転換も抑制されていることを検証した。これもわれわれの仮説の正当性を支持する根拠となると考えている。今後さらにpelletに改良を加え、次の実験ステップに進めるように来年度の計画を立案している。
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