2011 Fiscal Year Annual Research Report
クモ膜下出血後の脳血管攣縮に対する蛋白リン酸化酵素Cをターゲットにした創薬の研究
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20591699
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
西澤 茂 産業医科大学, 医学部, 教授 (40135257)
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Keywords | クモ膜下出血 / 脳血管攣縮 / 蛋白リン酸化酵素C / アイソフォーム / 創薬 |
Research Abstract |
われわれはこれまでの実験結果から、クモ膜下出血後の脳血管攣縮発生、維持に血管平滑筋細胞内の蛋白リン酸化酵素C(PKC)、なかでもそのisoformであるPKCδとPKCαの両者が重要な働きをしていると報告、その両者の阻害剤であるM-62885という化学物質が脳血管攣縮の予防ならびに治療に効果があると考え、この物質を含有するpelletを作り、動物実験モデルに使用して、われわれの仮説を検証することを本研究の目的とした。 平成21年度に行う実験計画では、さらにpelletに改良を加え、次の実験ステップに進めるようにすることにあった。しかし、現時点では未だその試作は成功に至っていない。その理由がどこにあるのかまだよくつかめていない。Pelletの質的な問題であることは間違いないと思われるが、今後さらにそれを改良して良質のpelletを作成できるかどうかの確証がない。 それに替わる計画として、体内埋め込み式で薬液を浸透圧の差で微量に注入できる装置(微量注入ポンプ)があり、これを使ってPKCδ,αの両者を抑制するM-62885を微量に注入できるよう試作を行っている。いま実験数が十分でないので、データを呈示できるほどの実績が無いが、pellet作成より、この装置で目的とする脳槽に微量に薬液を注入できるようにすることのほうがより実際的な実験と考え、今後これを継続して行く予定である。 クモ膜下出血後の脳血管攣縮抑制のための至適濃度のM-62885を明らかにすることができれば、犬の大槽内に細いカテーテルを挿入し、これを微量注入ポンプにつけて体内に埋め込み、血管撮影上で脳血管攣縮の抑制効果、形質転換の抑制効果を判定する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
PKCδとα両者のisoformを実験動物の生体内で抑制できるようにするdrug delivery systemがなかなか完成しないため。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的にはこれまで行ってきた研究方法を継続して、(drug delivery systemをなんとか完成し、脳血管攣縮抑制のための創薬の研究を達成したい。また脳血管攣縮だけでなく、くも膜下出血後の早期に起こる急性期脳損傷に対する効果も研究する予定である。
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Research Products
(2 results)