2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳低体温療法施行時の患者重症度に関する研究―電子スピン共鳴法を用いた検討
Project/Area Number |
20591808
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
新宮 千尋 大分大学, 医学部, 講師 (30295191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 重清 大分大学, 医学部, 講師 (90274761)
横井 功 大分大学, 医学部, 教授 (80150366)
野口 隆之 大分大学, 医学部, 教授 (90156183)
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Keywords | 全脳虚血 / フリーラジカル / 電子スピン共鳴 |
Research Abstract |
22年度は、これまで行った基礎研究で用いた動物全脳虚血モデルを用い、各種薬剤を用いた脳保護作用を検討するとともに、脳スライス標本を用いて、ESR(電子スピン共鳴)装置で、ラジカル検出を試みた。ラジカル種としてスーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、NO等の虚血再灌流障害で組織障害の主因となるラジカルを捕えられるか検討した。その結果、コントロール群として、脳摘出標本において、CA1領域の細胞脱落を認めたものに対しても、ex vivoの検討では、ラジカルスペクトルの変動を見出すことが出来なかった。対策として、スピントラップ剤としてDMPOやより検出感度の高いCYPMPOを用い、濃度や混入のタイミングを変えるなどして検出を試みたが、検出出来なかった。瞬時にして消失してしまうラジカルを検出するには、ラジカル発生が最大となる超急性期(再灌流直後)での検討が今後必要ではないかと考えられる。一方、各種抗酸化物質であるビタミンE誘導体、αリポ酸誘導体、エダラボンでの、本モデルを用いた検討において、組織学的な改善効果を認める結果を得ており、脳保護効果を検討するための有効な研究モデルの確立が出来た。脳スライスモデルを用いた各種ラジカルの検出と神経学的予後との関連は、今回の研究で明確には示されなかったが、こうしたモデルの確立を行った基礎研究結果は、今後、脳蘇生領域の至上命題である脳高次機能の保護戦略を探る一つの検討手段としての可能性を示唆するものである。
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