2010 Fiscal Year Annual Research Report
老齢ラットにおける全身麻酔後の長期学習障害に関する基礎研究
Project/Area Number |
20591840
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
伊奈川 岳 横浜市立大学, 医学研究科, 客員准教授 (60336584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 隆久 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (00256075)
菊地 龍明 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (70285138)
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Keywords | 全身麻酔 / 条件付け |
Research Abstract |
平成21年度の研究では、8週齢のラットにおけるショック逃避試験(Shock Avoidance)で、昼間帯と夜間帯の差はないが、麻酔後1日目の成績が影響されることを、世界で初めて明らかにした。平成22年度は、麻酔後何日目で最も影響が大きいか、また麻酔に用いるイソフルランの濃度とShock Avoidanceの成績の関連を調べた。 全身麻酔を、イソフルラン0.6%、1.2%、1.8%の3つの異なる濃度で2時間行い、それぞれのあと1日目、3日目、7日目にShock Avoidanceを行った。その結果、 1.0.6%では成績に影響はない。 2.1.2%では麻酔翌日でむしろ成績がよくなり、その後、7日目までにコントロールのレベルに徐々に戻る。 3.1.8%では1日目および3日目の成績はコントロールと同等であったが、7日目に成績が悪くなる。ことを明らかにした。これらの結果は平成22年度3月末に出揃ったので、平成23年度に学会報告および論文化する予定である。 特に、3は世界初の知見である。人においては、若年成人に麻酔後の遅発性認知障害がみられるという報告が今のところないため、今回のラットにおけるこの結果の臨床的意義は不明である。 今後はこれを別の動物行動学的モデルを用いて再現できるかを検討する。またプロポフォールや亜酸化窒素、キセノンなど別の麻酔薬ではどうであるかを検討する。その後、この遅発性の認知機能低下の電気生理学的および神経生化学的検討、および治療法の検討を行いたい。
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