2008 Fiscal Year Annual Research Report
知覚神経における疼痛関連遺伝子の転写活性制御の解析と疼痛治療への応用
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20591841
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
天谷 文昌 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (60347466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 雅樹 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (80264753)
橋本 悟 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (90167578)
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Keywords | 痛覚過敏 / 転写因子 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
慢性疼痛における痛覚過敏発現に対する転写因子NF-IL6の役割を明らかにするために、ラット慢性疼痛モデルにおける一次知覚神経および脊髄におけるNF-IL6の発現を解析した。慢性疼痛モデルとして我々が作成した炎症性神経炎モデルであるperiganglionic inflammation model(PGI)とComplete freund adjuvantを足底に投与する末梢組織炎症モデル(CFA)ならびに神経絞扼モデル(spinal nerve ligation:SNL)モデルをしようした。これらモデル動物から一次知覚神経および脊髄を摘出し、ウェスタンブロッティングおよび免疫組織化学、リアルタイムPCRを行ってNF-IL6の発現量を定量した。 免疫組織化学の結果、PGIならびにSNLモデルの一次知覚神経においてNF-IL6陽性ニューロン数は増加した。いずれのモデルにおいても処置後早期からNF-IL6の発現は増加しており、NF-IL6が痛覚過敏の発現に関与している可能性が示唆された。NF-IL6陽性ニューロンは小型の侵害受容ニューロンを中心に認められた。 リアルタイムPCRではNF-IL6 mRNAの発現量は処置前後で変化せず、NF-IL6陽性ニューロンの発現増加は転写後調錦をうけて行われるものであることが示唆された。脊髄ニューロンにおいてはいずれのモデルにおいてもNF-IL6の発現は増加しなかった。 以上の結果から、NF-IL6は慢性疼痛モデルにおいて、痛覚過敏発現に先立って一次知覚神経の侵害受容ニューロンに発現し、これらのニューロンにおける遺伝子発現変化に関与している可能性が示された。
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