2010 Fiscal Year Annual Research Report
microRNAの発現解析による前立腺癌診断・治療への応用
Project/Area Number |
20591853
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊藤 秀明 福井大学, 医学部, 助教 (00345620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 修 福井大学, 医学部, 教授 (90242552)
大山 伸幸 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (20223977)
土山 克樹 福井大学, 医学部附属病院, 医員 (90464073)
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Keywords | 前立腺癌 / miRNA / Gleason grade |
Research Abstract |
前立腺癌の病理学的所見の客観的マーカーとしてmiRNAの発現変化に着目した。マイクロアレイを用いた網羅的なプロトコールは困難なため、評価miRNAはこれまでの報告で前立腺癌組織・細胞株において発現変化を示されているものに対して順に行ってきた。 前立腺癌29症例より手術で得られたホルマリン固定パラフィンブロック標本より、マイクロダイセクション法を用いて正常組織とグリソン・グレードごとに癌組織45検体からmiRNAを抽出した。RT-q-PCR法を用いて各組織でのmiR-31,-34c,-96,-182,-183,-205,-221,-222とinternal controlとしてRNU48の発現量を比較した。 miR-31,-34c,-221,-222の発現はいずれも正常組織に比較して癌組織で有意に低下していた。しかし、グリソン・グレード間での比較では有意差はなかった。miR-96,-182,-183は正常組織と比較して癌組織で発現が増加していた。グリソン・グレード4の検体に限って検討するとmiR-183,-205の発現はグリソン・スコアと相関していた。すなわち前立腺癌におけるmiRの発現は個々のグリソン・グレードではなく、腫瘍全体としての悪性度(グリソン・スコア)によって変化している可能性が示唆された。 われわれの結果は従来の報告でグリソン・スコアとmiRNAの発現が相関したとしている報告の結果と比較すると、miR-31,-205など癌組織/正常組織比が約10倍もあるものがあった。間質細胞は正常細胞と近いmiRNA発現を示したため、この結果の違いはマイクロダイセクション法を用いたサンプル採取法の違いによるところが大きいと考える。マイクロダイセクション法は癌組織と正常組織を確実に採取できるため、正確なデータ解析には不可欠と考えられた。
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