2010 Fiscal Year Annual Research Report
閉塞が徐々に完成する新しいBPHモデルによる閉塞膀胱の病態とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
20591884
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
山口 脩 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60006814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宍戸 啓一 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30285035)
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Keywords | 前立腺肥大症 / 閉塞モデル / 増殖因子 |
Research Abstract |
平成22年度は、閉塞手術施行後4周目と12週目で、新規閉塞モデル群および即時閉塞モデル群から膀胱を摘出し、閉塞膀胱病態の分子メカニズムにつき検討を加えた。 1.増殖関連因子について 新規閉塞モデルでは、4週目におけるHB-EGFやNGFの発現はきわめて低く正常コントロールとほぼ同じであったが、12週目に入るとHB-EGFおよびNGFの発現が著しく増加した。一方、即時閉塞モデルにおいては、HB-EGFとNGFの発現が4週目から著しく上昇した。しかし、12週目で両者の発現量はむしろ低下していた。また、MAPK系ではJNKのみが新規閉塞モデルの4週目で増加したが、12週目では正常レベルまで戻った。既時閉塞モデルではJNKの変動に一定の傾向を認めなかった。 2.アポトーシス関連蛋白について アポトーシス関連因子として、caspaseについて検討した。Caspaseは新規閉塞モデルの4週目および12週目でその発現が最少に抑えられていた。一方、即時閉塞群では、4週目からcaspaseが発現し、12週目でさらに増加した。 以上の分子病態解析から、即時閉塞モデルでは閉塞作製から4週目で急速に膀胱平滑筋の増殖が始まるが、12週目では増殖は著しく低下しアポトーシスの方に傾くことが示された。これに対し、新規閉塞モデル群では、細胞増殖はゆっくりと進行し12週目で増殖因子の発現がさらに上昇しているものの、アポトーシスの徴候は観察されなかった。
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