2008 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頚部細胞診検体からのHPV組み込み型子宮頚癌ハイリスク者診断法の開発
Project/Area Number |
20591948
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
本郷 淳司 Okayama University, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10301293)
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Keywords | HPV / 遺伝子組み込み / IGF-IR / 免疫組織染色 / p53 |
Research Abstract |
我々は子宮頸癌培養細胞において、I型インスリン様増殖因子受容体(IGF-IR)がその他の培養細胞と比較して過剰発現していることを示した。その分子機序としてHPV感染のため、その癌遺伝子産物であるE6蛋白が、癌抑制遺伝子産物のp53をユビキチン化分解するために、本来、p53蛋白によりその転写が強力に抑制されているIGF-IRが反対に過剰発現している仮説を立てた。今回、その仮説を実証するために、子宮頸癌培養細胞であるSiHa細胞にHPV E6遺伝子を、またHeLa細胞にHPV E2遺伝子を導入し、それによるp53蛋白、IGF-IR蛋白の発現量の変化、また足場非依存性増殖能、腫瘍形成能の変化を調べた。HPV E6蛋白導入にてp53蛋白は減少、IGF-IR蛋白は増加し、それに伴い足場非依存性増殖能、腫瘍形成能は亢進した。遺伝子変異を導入したmutant E6では変化画なく、また増加したIGF-IR蛋白の発現を特異的siRNAを用いて抑制すると足場非依存性増殖能の亢進は消失したため、HPV感染により子宮頸癌細胞はE6蛋白によるp53蛋白発現抑制を介してIGF-IR蛋白の発現を増強し、足場非依存性増殖能、腫瘍形成能を獲得することが実証された。次に子宮頸部異型上皮と子宮頸癌の摘出組織を抗IGF-IR抗体および、抗チロシンリン酸化IGF-IR抗体を用いて免疫組織染色することにより検討した。異型上皮から子宮頸癌へ進展するにつれて、王GF-IR発現量は有意に増加した。また異型上皮においてはIGF-IRの過剰発現の局在はHPV E6蛋白の発現局在と一致しており、この事象を利用してHPVの宿主への遺伝子組み込みの有無を判定できる可能性が示唆された。
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