2008 Fiscal Year Annual Research Report
子宮腫瘍(頚癌・体癌)及び子宮内膜における糖脂質糖鎖の生理機能
Project/Area Number |
20591962
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
三上 幹男 Tokai University, 医学部, 教授 (30190606)
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Keywords | 子宮体癌 / 組織分化度 / 腺腔形成 / 糖脂質 / 硫酸化糖脂質 / スルファチド / コレステロール硫酸 |
Research Abstract |
「高分化型内膜腺癌では硫酸化脂質の合成・発現が亢進している」 糖脂質は、糖たんぱく質と同じように細胞相互の認識や分化などの機能に関与し、さらに癌化に伴いその糖鎖構造が変化することが明らかとなり、生殖医学や腫瘍学においても注目を集めている細胞膜上の分子である。我々はすでにヒト正常子宮体内膜及び子宮体癌の硫酸化糖脂質を分析し、内分泌環境及び癌化に伴う発現の変化を報告している。今回は体癌の分化度(腺腔形成の割合)に注目し、硫酸化脂質(スルファチド、コレステロール硫酸)の発現、合成を行う硫酸基転移酵素、糖転移酵素のmRNA発現を解析した。[方法]材料は、当科にて手術を施行した臨床進行期IC期以上の子宮体癌摘出組織12例(G1:7例、G3:5例)を用いた(患者の同意のもとに採取した)。(1)常法に従い脂質を抽出精製し、TLC及びTLC免疫染色にて硫酸化脂質の発現を、(2)RT-PCR法を用いて、コレステロール硫酸基転移酵素、硫酸化糖脂質硫酸基転移酵素、ガラクトース転移酵素、シアル酸転移酵素、Nアセチルガラクトサミン転移酵素、などのmRNA相対的な発現を、G1とG3における違い中心に解析した。[成績](1)硫酸化脂質、特にスルファチドの発現はG1例で有意差を持って亢進していた。(2)硫酸基転移酵素(コレステロール、スルファチド)はG3例に比較してG1例で相対的に発現が増強していた。ガラクトース、グルコース、シアル酸転移酵素、Nアセチルガラクトサミン転移酵素に関してはG1例とG3例ともに発現は観察されるが違いは認められなかった。[結論]子宮体癌における脂質の硫酸化という現象が体癌の分化、つまり腺腔形成に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)