2009 Fiscal Year Annual Research Report
好酸球性中耳炎の病態解明による難治性中耳炎に対する治療戦略
Project/Area Number |
20591995
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
中川 尚志 Fukuoka University, 医学部, 教授 (70274470)
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Keywords | 好酸球性中耳炎 / サイトカイン / IL5 / IL13 / 診断基準 |
Research Abstract |
研究の目的として挙げた2項目について2009年度の成果は以下のとおりである。(1)好酸球性中耳炎の中耳炎炎症に特異的なサイトカイン、ケモカインを探る:初年度の研究結果より好酸球性中耳炎はTh2炎症を主体として、Th1炎症が混在していることが明らかとなった。このため、Th1およびTh2炎症に関わる代表的なサイトカインを選び、好酸球性中耳炎患者の耳漏上澄み液に含まれるかどうかをELISAで検討した。その結果、最も特異的なサイトカインはIL5であった。感受性はほぼ100%で、少量の耳漏でも検出することができた。しかし、好酸球性中耳炎でないアレルギー性鼻炎を合併する慢性中耳炎症例において、耳漏からIL5が検出され、偽陽性になることも数例あった。それに次ぐものはIL13であったが、感受性が70%と劣っていた。このため、臨床像のみで診断ができないものでもIL5の測定で診断できることが明らかになった。しかし、IL5陽性例でも臨床像を考慮したうえで診断しなくてはならないことが注意点として挙げられる。この点については引き続き、他のサイトカイン、ケモカインを探る必要性がある。(2)遷延した耳漏を有する患者でどのぐらい好酸球性中耳炎を診断できるか:本年度の結果までにおいてはサイトカインでスクリーニングは可能であることが明らかになった。しかし、前述した理由により、検査データのみでの診断には特異性に問題があり、臨床像も考慮した診断基準の作成が急務であると考える。複数施設との共同で診断基準の作成に取り掛かっている。
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