2010 Fiscal Year Annual Research Report
増殖型HSV―1ウイルスベクターを用いた神経芽腫の新規治療法の開発研究
Project/Area Number |
20592085
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
菱木 知郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00375776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤堂 具紀 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (80272566)
吉田 英生 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (60210712)
白澤 浩 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00216194)
齋藤 武 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (20406044)
佐藤 嘉治 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60375772)
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Keywords | 腫瘍融解ウイルス / 神経芽腫 / ヒトヘルペスウイルス1型 |
Research Abstract |
【抗がん剤との併用によるHSV-1の効果】 従来の神経芽腫治療にはシスプラチン・アドリアマイシン・エンドキサンなどの抗腫瘍材が使用されてきた。今回HSV-1の抗がん剤との併用による相乗効果の有無について検討した。 CHP134株とIMR32株はMYCN遺伝子増幅神経芽腫細胞株であり、HSV-1をmoi0.01で感染させると2-3日目に大部分の細胞にCPE(cytophathic effect)が観察される。in vitroにおいてシスプラチンを0-5uMとHSV-1 0-0.1moiで処理しCell Titer Gloにて生細胞数の定量をおこなった。予想に反し、HSV-1をmoi 0.01、0.0でっ感染させた細胞は、非感染細胞に比しシスプラチンによる細胞死を起こしにくいことがわかった。すなわちHSV-1は神経芽腫細胞株のシスプラチン毒性に拮抗する可能性が示唆された。 【ヌードマウスにおけるHSV-1の抗腫瘍効果】 BALBc nu/nu atyhmic miceのflankにCHP134を1x10^7個移植した。腫瘍径が6mm以上となった時点でHSV-1(T-01)を1x10^6pfu腫瘍内へ注入した。3日後に同処理を繰り返し、腫瘍体積の推移を観察した。治療群のマウスではコントロール群(非感染マウス)に比し有意に腫瘍の増殖が抑制された。しかし、腫瘍か消失した個体はなく、一様に腫瘍はゆっくりと増殖した。 今回の解析より、HSV-1の神経芽腫への臨床応用にあたっては(1)従来の化学療法との併用は避けるべきである(2)ある一定の体積をもつ既存の腫瘍に対する効果は限定される。ということをふまえ、微小遺残腫瘍を標的とした再発予防治療にもっとも効果を発揮する可能性が示唆された。
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