2010 Fiscal Year Annual Research Report
FGF23シグナルを分子標的とした歯・骨疾患治療のための基盤研究
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20592139
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉子 裕二 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20263709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南崎 朋子 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30452593)
吉岡 広陽 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50523411)
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Keywords | FGF23 / 可溶型Klotho / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
線維細胞増殖因子(FGF)23は、遺伝性あるいは腫瘍性低リン血症性くる病・骨軟化症の責任因子として同定された。後に、FGF23が生理的なリン代謝に重要で、その作用は主として腎のII型Na/Piコトランスポーターおよび1α水酸化酵素の発現を抑制することで引き起こされることが明らかにされた。 本件では、FGF23が低リン血症因子としてのみならず、骨芽細胞に直接作用して石灰化調節を担うことを明らかにした。FGF23シグナルはFGF受容体(FGFR)と老化関連膜タンパクKlothoが複合体を形成することで伝達される。一方、骨ではKlothoが発現してないため、腎臓に由来し、血中を循環する可溶型Klotho(sKL)が骨のFGF23シグナル伝達に関与することを明らかにした。 本件はまた、FGF23はFGFR1/sKL複合体に結合すると、マップキナーゼERK1/2のリン酸化を介して石灰化を抑制することを示した。骨にはFGF23以外に多くのFGFファミリーメンバーが発現し、骨形成の様々な場面(未分化細胞の増殖、分化、基質形成や石灰化)に関わっている。このようなFGFsの多様性において、FGF23が石灰化調節に特別に寄与する仕組みとして、 (1)FGF23の強力な発現誘導因子として1,25(OH)_2D_3を特定、その作用は石灰化期に選択的に発揮されること (2)増殖期に作用するFGF2はFGF23の発現を強力に誘導すること (3)FGF23は増殖、分化に影響しないこと (4)FGF23で誘導される遺伝子はPhexなどに限局されることを明らかとした。 これらの結果より、骨形成過程において、骨芽細胞系列にFGF23の石灰化調節が選択的に発揮されるシステムが構築されていると推察された。
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Research Products
(7 results)