2010 Fiscal Year Annual Research Report
象牙質における成長線の周期性と生物時計との関連:メラトニンによる調節
Project/Area Number |
20592168
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Research Institution | Kochi Gakuen College |
Principal Investigator |
三島 弘幸 高知学園短期大学, 幼児保育学科, 教授 (30112957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 純 東京医科歯科大学, 院医歯学総合研究科, 准教授 (20243248)
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Keywords | 遺伝子 / 細胞・組織 / 歯学 / 成長線 / メラトニン |
Research Abstract |
成長線の周期性形成メカニズムを明らかにすることを目的として、歯胚組織におけるメラトニンレセプターのmRNA発現を調べた。妊娠ラットにメラトニン経口投与(8日間)を行い、成長線に変化があるかどうか検索した。材料としてSDラットの歯胚組織を用いた。方法として、1)出産後3日令(歯冠形成期)の歯胚を夜間と昼間に摘出した。2)妊娠ラットにメラトニン経口投与を行い、出産後5日令(歯根形成期)にて、夜間と昼間に歯胚を摘出した。 メラトニンレセプターのmRNA発現の解析し、また、成長線の組織学的研究も行った。切歯と臼歯の歯胚組織において、メラトニンのレセプターMT1とMT2は発現していることが判明した。夜間(暗期)が昼間(明期)より発現量が高いという結果になった。夜間時の石灰化前線にヘマトキシレンに濃染する層が観察された。昼間には、石灰化前線は濃染されない。夜間に石灰化が進行し、ヘマトキシレンに濃染する層が形成され、昼間にヘマトキシレンに淡染する層が形成され、濃染層と淡染層が対になった成長線になると考察される。また濃染層と淡染層の間隔を形成すると、平均15.50±1.15μmであった。これはSchour & Masslerのサーカディアンリズムの成長線の間隔の結果とほぼ一致する。妊娠ラットにメラトニン経口投与した場合、コントロールに比較し、石灰化が亢進し、濃染層と淡染層の成長線が認められなかった。また研磨標本で、サーカディアンリズムより長周期の成長線が観察された。短周期と長周期の成長線が認められるが、成長線の周期性にメラトニンが関与する可能性が示唆された。 SEMやTEMの観察では、象牙質に暗帯と明帯の対になった成長線が観察された。分析結果では、Ca, P, Mgの元素が検出され、暗帯と明帯では、それらの元素の密度に若干の差が認められ、明帯がより元素が密集していた。微量ながら暗帯でMgが増加していた。顕微レザーラマン分光装置において、961cm^<-1>にPO_4^<3->のピークが検出された。明帯で高いピークであり、暗帯で低いピークであった。これまでの結果により、夜間に分泌されるメラトニンが、歯胚に作用し、成長線の周期性形成を制御している可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)