2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592170
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
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Keywords | 生理学 / 脳・神経 / 動物 / ヒト / 反射 |
Research Abstract |
嚥下運動に関わる多くの筋は,呼吸,咀嚼,構音などの他の機能にも深く関わることから,中枢での制御機構にも何らかの関係が存在する.本年度は1)嚥下反射の誘発に関する末梢の刺激効果部位の同定とその定量的評価を可能にすること,2)末梢と嚥下中枢との神経機構上の相互作用を明らかにすることを目的としてヒト咽頭の電気刺激により,随意嚥下誘発に対する効果を定量的に評価した,本研究は,麻酔動物を用いた旧姓実験および覚醒下のヒトを被験者とする実験から構成された. 動物実験により以下のことが明らかとなった.1)下歯槽神経ならびに舌神経への電気刺激によって引き起こされた顎反射(開口反射)が,嚥下誘発のための上喉頭神経刺激により抑制を受け,開口反射誘発のための刺激強さに依存してその抑制が認められた.2)上喉頭刺激による反射の抑制は単潜時で起きるものでなく,刺激を中止してからも数秒にわたり認められたことから嚥下中枢が関与することが強く示唆された.3)反射の変調は嚥下反射に伴う運動感覚には左右されなかった.4)下歯槽神経と比較すると舌神経刺激誘発性の開口反射の変調が強いことが明らかとなった.5)嚥下誘発のための上喉頭神経刺激が大きくなるに従い開口反射の抑制は強くなった. ヒト実験では中咽頭,下咽頭への電気刺激により有意に随意嚥下誘発の促通が認められ,単一部位よりも複数部位への連続刺激がより効果的であることを定量的に見出した.さらに,咀嚼やそれに伴う三叉神経系の入力が嚥下反射惹起を抑制するという双方向性の関与を示唆する結果も得られた.
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Research Products
(9 results)