2008 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスにより惹起される口腔感覚異常の神経基盤の解明
Project/Area Number |
20592171
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
伊藤 和夫 Gifu University, 医学系研究科, 教授 (60093184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩幸 岐阜大学, 医学系研究科, 准教授 (10211434)
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Keywords | 扁桃体 / 三叉神経中脳路核 / 青斑核 / 線維連絡 / 神経解剖 / 顎運動 / 情動 / 攻撃行動 |
Research Abstract |
[研究成果の具体的内容]本年度は、50匹のラット(Sprague Dawley)を用いて研究した。神経軸索トレーサー(ビオチン化デキストランアミンBDA・ファーストブルー)を、扁桃体(20匹)・視床下部(10匹)・島皮質(5匹)・青斑核(5匹)・三叉神経中脳路核(10匹)に微量注入した。4%パラホルムアルデヒドで灌流固定し、脳の前額断凍結連続切片を作製した。そのままスライドガラスに塗布して蛍光顕微鏡でファーストブルー標識神経細胞の分布を観察、あるいはエリートABCキットとDABで反応して、BDA標識神経終末の分布を明らかにした。三叉神経中脳路核へファーストブルーを微量注入すると、扁桃体の中心核や、視床下部外側野に逆行性に標識された神経細胞が見出された。扁桃体中心核・視床下部・青斑核にBDAを微量注入すると、三叉神経中脳路核に神経終末様の順行性標識が見出された。 [意義]扁桃体から感覚神経核への投射を発見した。さらに、青斑核から三叉神経中脳路核への投射を発見した。これらは世界で最初の発見である。また、視床下部から三叉神経中脳路核への投射を確認した。この研究は、三叉神経中脳路核の新たな神経回路を世界で始めて発見し、その機能の新たな理解を提供する意義がある。 [重要性]情動系が、顎運動を直接支配していることを明らかにした点に重要性がある。研究成果は、平成20年7月に、国際歯科基礎学会(トロント)において報告した。さらに、神経解剖の分野では第1級の国際誌であるJournal of Comparative Neurologyに、2報の論文を投稿準備中である。
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