2010 Fiscal Year Annual Research Report
新たなヘルパーT細胞と自然免疫から口腔粘膜のびらん・潰瘍病変の発現機序を解明する
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20592195
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 由美子 東北大学, 病院, 助教 (30235866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 梓 東北大学, 病院, 医員 (90463778)
笹野 高嗣 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10125560)
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Keywords | MHC class II / 細胞外ATP / P2X7受容体 |
Research Abstract |
異所性のMHC class II分子の発現は、組織特異的な自己免疫疾患の発症に大きく関与している。唾液腺や涙腺の破壊を特徴とする自己免疫疾患であるシェーグレン症候群においても、唾液腺上皮細胞における異所性のMHC class IIの発現がみられる。一方、細胞膜の破壊により組織中に放出された細胞外ATPは、細胞間伝達物質として働き、その受容体の一つであるP2X7受容体は、炎症および免疫反応においての役割が注目されている。本研究では、細胞外ATPが唾液腺上皮細胞におけるMHC class II分子の発現に及ぼす影響について解析し、細胞外ATPと唾液腺上皮細胞の免疫応答との関わりについて検討を行った。ヒト唾液腺上皮細胞株をATPで刺激すると、細胞膜表面にMHC class IIの発現が認められた。細胞質内の解析では、無刺激の状態でも細胞質内に恒常的にMHC class IIが発現していたが、ATP刺激による発現量に変化はなかった。また、MHC class II転写調節因子CIITAの発現量についても増加は認められなかった。ヒト唾液腺上皮細胞株ではP2X7受容体の存在が確認され、P2X7受容体アゴニストであるBzATP刺激により、細胞膜表面でのMHC class IIの発現が誘導され、アンタゴニストであるoATP刺激により、ATPによるMHC class IIの発現が抑制された。さらに、ATP刺激により、細胞内でのオートファゴソームの形成の促進がみられ、MHC class II分子を内包したexosomeの放出が認められた。このexosomeはLC3-IIを発現していた。以上の結果から、ヒト唾液腺上皮細胞株は細胞内にMHC class II分子を恒常的に発現しており、細胞外ATP刺激によりP2X7受容体を介して、MHC class II分子を細胞膜表面へ表出させると同時に、オートファゴソームに関連したexosomeに内包された形で細胞外に放出する可能性が示された。これより、細胞外ATPがシェーグレン症候群発症に関与するという新たな可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)