2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性腫瘍の組織型発現の決定因子に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
20592208
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
武田 泰典 Iwate Medical University, 歯学部, 教授 (60137536)
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Keywords | 病理学 / 歯原性腫瘍 / 顎骨中心性腫瘍 / 周辺性腫瘍 / 腫瘍化機構 / 上皮間葉相互作用 / 細胞間結合 / 鑑別診断 |
Research Abstract |
(1) エナメル上皮腫の腫瘍細胞とマクロファージとの相互作用:稀ではあるが、マクロファージがエナメル上皮腫の実質と間質の界面部に集簇することがあることを確認した。そこで基底膜型ヘパラン硫酸プロテオグリカンであるパールカンに着目し、その発現の有無を検討したが、残念ながら目下のところパールカンの発現は認められていない。引き続きマクロファージと腫瘍細胞との間に相互作用があるか否かを検討中である。 (2) 周辺性歯原性腫瘍における被覆上皮基底層の細胞学的性状:周辺性エナメル上皮腫について、被覆上皮基底層と腫瘍との移行部における34βE12(高分子ケラチン)とCAM5.2(低分子ケラチン)、ならびにアポトーシス阻害因子であるbc1-2の発現を検討した。その結果、34βE12は被覆上皮基底層から腫瘍へと移行的に発現していたが、CAM5.2は腫瘍のみに発現していた。また、bc1-2も腫瘍のみに発現していた。なお、細胞増殖活性については、被覆上皮基底層と腫瘍との間には有意な差はみられなかった。 (3) Chievitz傍口腔器官(juxtaoral organ of Chievitz)構成細胞と歯原性上皮性腫瘍との類似性:Chievitz傍口腔器官は、ときに組織学的に扁平上皮癌との鑑別を要するといわれているが、エナメル器に類する組織構築を呈するものがあることを見出した。今後、Chievitz傍口腔器官とエナメル上皮腫とを細胞学的に比較検討する予定である。 (4) レチノイン酸が接合上皮由来株化細胞に及ぼす影響:レチノイン酸は上皮細胞間結合装置のタンパク発現に関与していることをin vitoroで明らかにした。最終的に周辺性歯原性腫瘍のモデル化について検討してみたい。
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