2008 Fiscal Year Annual Research Report
ラット根管治療モデルを用いたラミニンγ2発現動態からみた根尖病巣治癒メカニズム
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20592226
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
畑中 加珠 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50362992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成石 浩司 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00346446)
山本 直史 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50432662)
高柴 正悟 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
加古 綾 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (60448230)
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Keywords | 骨芽細胞 / IL-1 / 根尖性歯周炎 / 細胞増殖活性 / 細胞接着活性 / ラミニン |
Research Abstract |
根尖性歯周炎の病態は様々な視点から解明されてきたが,その治癒過程の分子メカニズムは未だ不明である。そこで,我々はラット根管治療モデルを用いて,根尖周囲組織の遺伝子動態を遺伝子マイクロアレイ法によって網羅的に解析し,炎症期のInterleukin(IL)-1βの発現上昇,および治癒期のIL-1α発現上昇という知見(Martinez et al, J Endod,2007)を基に,根尖性歯周炎病巣での治癒(骨再生)を制御し得るIL-1αおよびIL-1βの作用に着目してきた。 今年度においては,根尖病巣の治癒過程における骨芽細胞の役割に焦点を絞り,IL-1α,-βのマウス骨芽細胞様細胞MC3T3-E1に対する影響を調べた。得られた結果を以下に示す。 1.IL-1αおよび-βは,p38MAPK系を介して,細胞の増殖活性を統計学的に有意に亢進することが判明した(Student's t-test, p<0.05)。 2.MC3T3-E1の細胞接着能がIL-1α刺激によって亢進する可能性を見出した(位相差顕微鏡にて確認)。 3.Martinezらの報告の中で,根尖病巣治癒期にラミニンγ2遺伝子発現が著明に亢進するという結果が得られたことを勘案して,上記2項の接着能亢進メカニズムを検討した。すなわち,細胞をIL-1αで刺激した後のintegrin α3およびintegrin β1の発現動態をウエスタンブロット法で調べたところ,integrin α3の発現が亢進することが判明した。 以上のことから,IL-1αによる骨芽細胞のintegrin α3発現の誘導がラミニン-インテグリン相互作用を導き,結果として骨組織再生が誘導されるメカニズムが示唆される。
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