2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯質接着界面のナノスケール解析に基づく機能性モノマーの分子挙動解明
Project/Area Number |
20592250
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Research Institution | Junsei Junior College |
Principal Investigator |
中村 真理子 吉備国際大学, 短期大学部・保健科, 教授 (90284067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 靖弘 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (90281162)
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Keywords | アパタイト / 機能性モノマー / 歯質接着界面 / 分子挙動 |
Research Abstract |
本研究では,機能性モノマーによる樹脂含浸層の形成メカニズムについて検討した.前年度考察したメカニズム「機能性モノマーである10-MDPではアパタイトに吸着後,疎水性の層状構造を形成するためアパタイトが残存する。」につき今年度は層状構造の形態につきより詳細に分析した。 【材料および方法】 1)天然歯象牙質に10-MDPを作用させたときの化学的相互作用の検討:天然歯象牙質を10-MDPに浸漬し,X線回折装置にて分析を行った。 2)臨床で使用している術式で抜去歯牙の象牙質表面にphenyl-Pと10-MDPを塗布しその反応を観察した。 【結果および考察】 1)天然歯象牙質に10-MDPを作用させたときの化学的相互作用の検討:10-MDPを天然歯象牙質に作用させX線回折装置にて観察した結果、アパタイトとアパタイトの距離は3.94nmであることが明らかとなった。一方、10-MDPの長さは1.95nmであることが確かめられている。この2つのことから象牙質の層状構造は象牙質のカルシウムイオン間を2つのMDPが結合した状態となっていることが示唆された。 2)phenyl-Pを塗布した象牙質は象牙質表層のアパタイトが溶出し、象牙質成分中のコラーゲン繊維のみが残る結果となった。一方10-MDPを塗布した象牙質はアパタイトが全て溶出はされず、残存したアパタイトは10-MDPと化学的に結合していることが明らかとなった。本研究結果から、同じリン酸系モノマー(Phenyl-P, 10-MDP)でもアパタイトに対する化学反応性が大きく異なり、それが歯質接着界面の微細構造や接着耐久性に影響することが明らかとなった。以上の結果をまとめた論文は2010年Acta Biomaterialia Vol.6にて発表した。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Nano-controlled molecular interaction at adhesive interfaces for hard tissue reconstruction2010
Author(s)
Yoshihara K, Yoshida Y, Nagaoka N, Fukegawa D, Hayakawa S, Mine A, Nakamura M, Minagi S, Osaka A, Suzuki K, Van Meerbeek B.
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Journal Title
Acta Biomaterialia
Volume: 6
Pages: 3573-3582
Peer Reviewed