Research Abstract |
咬合と全身機能の関連性を示す客観的評価方法の構築を目的に,本年度は,まず,身体重心動揺と頭部動揺の同時計測,および頭頸部筋筋活動と動的咬合の同時計測が可能なシステムを構築し,次に,実験的に両足の踵を挙上して姿勢を変化させたとき,姿勢の変化が身体重心動揺,頭位,頭頸部筋群および咬合にどのような影響を及ぼすのか,さらにこれらの関連性についての検討を行った.被験者には,顎口腔系や平衡機能に機能障害を認めない個性正常咬合者15名を選択した. その結果,1.身体重心動揺と頭部動揺:両足挙上姿勢時の前後の足底荷重分布値は,自然直立姿勢時(以下,コントロール)と比較して後方へ偏位した(p<0.05).同様に,頭位も後方に偏位し(p<0.05),前後の足底荷重分布値と頭位の変化には相関が認められた(p<0.05).2.頭頸部筋群の筋活動量と咬合の評価:両足挙上姿勢時における咬筋,側頭筋,胸鎖乳突筋の積分筋電位は,コントロールと比較して増加する傾向が認められた.また,コントロールと比較して,咬筋と側頭筋の積分筋電位の増加率は,側頭筋に比べて咬筋の方が大きい傾向を示した.両足挙上姿勢時の最初の咬合接触と咬頭嵌合位における咬合接触圧分布値は,コントロールと比較して,それぞれ前方に偏位した(p<0.05).これらの結果から,実験的に両足の踵を挙上して姿勢を変化させると,姿勢の前後のバランスと頭位は後方に,咬合接触圧は前方にそれぞれ偏位し,さらに姿勢と頭位の変化には相関のあることが分かった. 今後も研究計画に従い,「咬合と全身機能の関連性解明」の一端を担うために,生体のダイナミックな現象である咬合,全身姿勢,身体重心動揺,身体機能の関連性を示す客観的データの蓄積およびデータベースの構築を目指す.
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