Research Abstract |
今年度は,早期荷重負荷が歯科インプラント周囲骨代謝活性に及ぼす影響を,動物用高解像度PET(Fine PET)を用いて経時的に評価した.Wistar系雄性ラット(12w)の脛骨に,φ1.2mmの純チタンインプラント2本を互いに平行になるように13mm間隔で埋入した.埋入翌日インプラント間にコイルスプリングを用いて4.0Nの荷重を負荷した.負荷開始後4,7,14,28日目に^<18>F^-185MBqを尾静脈より投与し,投与1時間後にFine PETを用いてイソフルレン吸入麻酔下にて撮像し,得られた像における^<18>F^-の集積度から,経時的変化を定量的に評価した.評価は遠位のインプラント周囲骨およびコントロールの左足同部位に関心領域(ROI)を設定,各ROIにおける集積値を計測し,左側と右側の集積値を比較,これを指標として実施した. その結果,負荷開始後7日目までインプラント周囲骨代謝活性が大きく上昇し,その後は徐々に下降した.負荷開始後14日まで,コントロール側に比べて有意な上昇を示したが,28日目では有意差は観察されなかった.このことから,荷重を早期に開始した場合においても,インプラント周囲骨の骨代謝回転は一定期間亢進し,その後,一定負荷下であるにも関わらず定常状態に達することが明らかとなった. 今回の結果より,荷重を早期に開始した場合においても,過去に我々が報告してきた骨シンチグラフィによる無負荷時のオッセオインテグレーション獲得と同様,インプラント周囲骨の骨代謝回転は一定期間亢進し,その後,一定負荷下であるにも関わらず定常状態に達すること,さらに,埋入翌日に荷重を負荷したことによってオッセオインテグレーションの獲得に要する期間が延長することはないということが示唆された.
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