2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯科検診を応用した施設入所被虐待児のセルフ・エスティーム啓発プログラム
Project/Area Number |
20592396
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
富沢 美恵子 Niigata University, 医歯学系, 教授 (50107786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 昭 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30401756)
佐野 富子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (40323977)
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Keywords | 歯科検診 / セルフ・エスティーム / 被虐待児 / Popeの子供用5領域自尊心尺度 |
Research Abstract |
方法:20年度と同様に児童相談所を定期的に訪問し、一時保護されている被虐待児を含む小児を対象として、歯科検診、歯垢染色、ブラッシング指導、機械的歯面清掃を行い、う蝕罹患状態、治療状況、プラークコントロールレコードなど口腔状態を記録した。SEについては、Popeによる子供用5領域自尊心尺度を用いて、全般的・学業・身体・家族・社会・虚構尺度について60問の質問票を作成し、小児に記入してもらった。SE値の対照群として、新潟大学医歯学総合病院小児歯科診療室を受診した小児57名のデータを用いた。また、退所前に、歯科に関するアンケート調査を実施した。結果:調査対象は、2~15歳の男子24名、女子26名、計50名である。入所理由(重複あり)は、虐待39名、ドメスティックバイオレンス同伴児14名、養護6名、非行4名、不登校2名、その他3名であった。SE値は、虚構尺度を除き、入所児は対照群に比し低く、入所児の平均は61.51±13.24(標準偏差)であり、一般児の平均は74.88±16.30であった。歯科治療の必要な小児は49名中25名であった。退所前のアンケート(28名)では、21名が歯を磨くと気持ちがよい、25名が歯を大切にしたいと答えていた。 考察および結論:今回の調査からも、被虐待児のSEが一般の小児に比し低いことが明らかになった。歯科治療を要する小児は半数にみられたが、検診や保健指導後の調査では、口腔の清潔感や歯の大切さを肯定する者の割合が高かったことから、非虐待児の健康指南力とSEの向上に歯科的関与の有用性が認められた。
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