2008 Fiscal Year Annual Research Report
RhoAによる細胞分化機構を応用した歯根膜細胞移植治療のための基礎的研究
Project/Area Number |
20592429
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 直史 Okayama University, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50432662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高柴 正悟 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
成石 浩司 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00346446)
塩見 信行 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (90432632)
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Keywords | 歯根膜 / Rho / Rho-kinase / ストレスファイバー / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
歯根膜細胞の分化は,種々の増殖因子や細胞外基質が及ぼす細胞内シグナルに加えて,細胞骨格の性状によっても制御を受けると考えられる。そこで申請者らは,細胞骨格のマスター遺伝子であるRho-Rho kinases (ROCK)シグナルによる歯根膜細胞の分化機構に着目し,本年度は1,硬組織形成細胞へ分化誘導した歯根膜細胞におけるRho-ROCKの発現パターンを調べ2,Rho-ROCKを過剰発現するベクターのクローニングおよび遺伝子導入の条件設定を行った。 1,Rho-ROCKシグナルの活性化を,アクチン線維の重合量,およびリン酸化ミオシン軽鎖の産生量について,免疫蛍光染色法にて調べた。歯根膜細胞を石灰化誘導培地で培養すると,アルカリフォスファターゼ活性およびカルシウム沈着量の増加を示す硬組織形成細胞へ分化した。この分化過程に伴って,歯根膜細胞はアクチン線維の重合促進およびミオシン軽鎖のリン酸化を亢進を示した。アクチン-ミオシン相互作用によるストレスファイバーの形成は細胞の張力を発生することから,歯根膜細胞の細胞骨格の変化は,硬組織形成細胞への分化に関与すると考えられる。 2,RhoAの活性型(RhoA-V14),およびROCKの活性型(〓3)のcDNA(Dev Cell 2004,Pennsylvania大学Dr.Chenの供与)をネオマイシン耐性配列とGFP配列を含む発現ベクター(pEGFP-C3)にクローニングした。これらの発現ベクターをラット腎臓細胞(NRK-52E細胞)にエレクトロポレーション法にて遺伝子導入を行い,選択培地での培養後,導入効率をGFP発現にて確認した。 以上の結果から,Rho-ROCKシグナルは歯根膜細胞の細胞骨格分子の調節を介して硬組織形成細胞への分化を促進する可能性が示唆された。今後,Rho-ROCKを過剰発現する歯根膜細胞株を樹立することによって,歯根膜細胞の分化メカニズムの解明に応用する。
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