2008 Fiscal Year Annual Research Report
看護師の負荷を軽減する体位変換・移乗介助技術の病院環境への導入
Project/Area Number |
20592532
|
Research Institution | University of Shizuoka,Shizuoka College |
Principal Investigator |
白石 葉子 University of Shizuoka,Shizuoka College, 講師 (10305500)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 聡美 東京女子医科大学, 看護学部, 助教 (80442193)
|
Keywords | 筋活動 / 移乗介助 / 負荷 / リフト / ボード |
Research Abstract |
病院における看護師の腰痛・移乗介助の実態調査(H19)を元に、移乗介助講習会とアンケート調査を実施した。また、移乗介助方法の違いによる看護者への負荷を明らかにするために、介助時の筋活動を測定した。患者への影響として、患者にかかる圧力や主観的感覚を明らかにした。 講習会は、人力での移乗介助の危険性と用具利用の有用性の理解を得ることを目的に開催し(参加者106名)、講習会前後のアンケートでは、人力での移乗介助を行っている現状を改善したいと考える人の割合が増え、理解が深まった。一方、用具の使用に対する抵抗感やコストについての批判的な意見も聞かれ、啓発活動や病院経営の観点からの検討が必要であることが示された。 移乗介助方法(人力・ボード・リフト)の違いによる看護者への負荷は、仰臥位の模擬患者を車椅子に移乗させる動作を行なわせ、身体各部の筋活動を測定し、比較した(対象者:看護学生9名)。動作時間の平均値は、リフト、ボード、人力の順で長く、最大筋力に対する筋活動の割合の平均値は、リフト、人力、ボードの順で多かった。しかし、仕事量としての筋活動(1秒あたりの筋活動)は、人力、リフト、ボードの順であり、更に患者の重さを持っている「荷重動作」においては、リフトが最も少なかった。模擬患者の主観的感覚は、人力よりもボードやリフトのほうが安心するという結果であった。リフトは動作時間や全体の筋活動は多いが、患者の荷重を扱う負荷は最も少なく、患者からも安心感を持たれることが示された。患者へ与える影響については、人力・シートを用いる水平移動と、リフトにおいて、仙骨部へかかる圧力を測定した。1例についてみると、リフト、人力、シートの順で高く、移乗介助用具を選定する際には患者の状況によって使い分ける必要性が確認された。今後はこれらの結果を考慮しながら病院における移乗介助方法の基準について検討していく。
|