2009 Fiscal Year Annual Research Report
緩和ケアに携わる看護師の継続教育支援-アクションリサーチによる介入と評価-
Project/Area Number |
20592543
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
砂川 洋子 University of the Ryukyus, 医学部, 教授 (00196908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
照屋 典子 琉球大学, 医学部, 助教 (10253957)
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Keywords | 緩和ケア / 看護師 / 教育支援 / アクションリサーチ |
Research Abstract |
2007年「がん対策基本法」が制定され、その重点目標のひとつに医療從事者の人材育成が喫緊の課題として挙げられている。21年度の本研究では、沖縄県内(離島地域を含む)の総合病院に勤務する看護師を対象として「緩和ケア研修会2009」を実施し、その教育効果を検証することにより、今後の教育支援の示唆を得ることを目的とした。2009年8月から9月にかけて、県内1か所(拠点病院での開催)と離島2か所の地域で、緩和ケアに携わり参加希望の得られた看護師を対象として1日間の研修会を実施した。プログラム内容にた、20年度の調査研究において、緩和ケアを実施する際に抱く悩みや困難感の項目として抽出された事柄(疼痛緩和の実際、化学療法時の副作用対策、患者・家族への精神的ケアを含む意思決定支援、在宅療養移行支援など)で構成したものを組み込んだ。受講後は、これらの項目を含めた24の設問に関して、(全くあてはまらない~非常にあてはまる)の5段階評定により、調査を実施し記述統計を行った。なお、調査にあたっては、対象者に調査の主旨、プライバシーの保護や学会への公表などを文書と口頭で説明し同意を得た。参加者は79名であった。研修会受講後は、「疼痛緩和の知識や技術」の項目は2.3±0.8から3.1±0.8(p<1.01)へと有意に上昇し、「化学療法時の副作用対策の知識技術」、「患者・家族のつらさの理解」、「在宅療養に関する意思決定支援」などの項目も有意に上昇していた(p<0.01)。さらに、研修会全般に関するアンケートでは、受講者の約7割が、講義のみではなくグループワークを取り入れた形式は良かったと評価しており、研修会の内容は概ね期待していたものと一致していたと回答していた。また、自由記載からは、地域内で緩和ケアに関する研修会が少ないことや、離島地域では島外に出て研修会に参加するための費用や時間的余裕が持てないなどが多く、このような研修会をみっと増やしてほしいなどの意見が挙がっていた。今回、緩和ケア研修プログラムを作成して、講義のみではなくグループワークなども取り入れながら、教育支援を行い評価を試みることができた。受講後は大部分の項目で、その得点は有意に上昇しており教育効果が示唆された。今後も、地域に居ながらにして大学などの教育機関や認定看護師などの専門家による教育支援を望む声も多く寄せられたことより、さらは継続して教育支援をしていくことの必要性が示された。本研究は、沖縄県内の総合病院において緩和ケアに携わる看護師の実践上の悩みや困難感を解決するための教育支援であり、その意義は大きいと考える。
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