2008 Fiscal Year Annual Research Report
「聴く」ことに焦点をあてた神経難病患者のための看護継続教育プログラムの開発
Project/Area Number |
20592565
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
原 三紀子 Tokyo Women's Medical University, 看護学部, 講師 (90291864)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小長谷 百絵 東京女子医科大学, 看護学部, 准教授 (10269293)
佐藤 紀子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (80269430)
|
Keywords | 聴く / 神経難病患者 / 看護師 / 看護継続教育プログラム / 心のケア / コーチング |
Research Abstract |
本研究の目的は看護師が神経難病患者の話を「聴く」ことを成立させるものや困難にしているものを抽出し、聴くことに焦点をあてた看護継続教育プログラムの試案を作成することである。我々は先行研究で神経難病患者の看護にあたる看護師は患者の心のケアを行う上で、患者の話を<聴く>ことの重要性を実感しながらも、「聴く」こと伴うさまざまな不安や葛藤があることを明らかにした。これらの結果をもとに、「聴く」ことに焦点をあてた研究の動向やアウトカム等などについて1998年〜2008年の過去10年間に遡り国内外の文献を概観した。文献検討を進める、わが国では「積極的傾聴スケール:active listening scale」を開発した三島(2004)らが、積極的傾聴を促す目的でコーチング技法を活用した教育プログラムを作成していることが明らかになった。三島らのプログラムでは、積極的傾聴の成功体験を学習者が意識化することでさらにより良い聴き方を学習者自身自らで見出せるようプログラムを工夫していた。これらの教育プログラムには「コーチング技法」が取り入られ、このコーチングスキルを身につけることは、「聴く」ことに焦点をあてた教育プログラムを推進していく上で必要とされるコミュニケーションスキルであると考えられた。そこで、コーチングの研修を研究者3名が受講し、基本的な技法について学んだ。その後、2009年2月から、看護師に神経難病患者の話を「聴く」ことに伴うエピソードや困難などについての半構成的面接調査を実施中である。インタビューは同年8月までの実施予定であるが、現時点のデータからも看護師は神経難病患者の気持ちに近づくためのチャンスを伺いながらも、そのタイミングがっかめず悩み、また、自分の話の聴き方を過小評価する言動が見られた。従って、「聴く」ことに焦点をあてたプログラムはコミュニケーション技法にとどまらず、「聴く」ことに対する看護師の恐怖心を取り除くなど看護師自身の内面に働きかける教育的視点が必要であると考えられた。
|