2型糖尿病患者へのQOL向上を目指した教育システムの構築

2009 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 20592569
• Research Institution: Kurume University
• Principal Investigator: 原 頼子 Kurume University, 医学部, 准教授 (60289501)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 山田 研太郎 久留米大学, 医学部, 教授 (10191305)
• Keywords: 糖尿病患者 / 自己管理行動 / ストレス・コーピング / 家族サポート

Research Abstract

糖尿病患者にとって、長期的な自己管理行動の継続は、生活の制限や、低血糖症状に対する不安などから、慢性的なストレスを引き起こし、その結果自己管理行動が低下し、血糖コントロールに影響を及ぼすとされる。食事や運動などの自己管理を良好に行うためには、家族からのサポートは重要であるとされるが、日本では家族のサポートが糖尿病患者の自己管理行動にどのような影響を及ぼすかについて焦点を当てた研究はまだ少ないため、現状を明らかにし、有効なサポートを提供できることは糖尿病患者の重症化防止のために意義がある。この研究は、1)糖尿病患者のストレスや家族サポート状況を外来受診時に評価できる自己管理行動・身体状況・ストレス及び家族サポート項目で構成される簡易QOL調査票を開発すること2)受診時にその調査票を用いて調査を行ない、患者のアドヘレンスを妨げている心理社会的要因、身体的要因や家族サポートの要因を把握すること3)その結果を基に、受診時に運動や食事療法の指導、症状に対しての治療法の改善を行なうことを目的としている。現在までに簡易QOL調査票開発のために、自己管理行動、身体状況、家族サポート、ストレスから構成された調査票により、家族と同居している外来患者346人(男性200人、女性146人)を対象に調査を終了しでいる。H21年度は、糖尿病患者の日常的ストレスを測定するための、CareyらのAppraisal of Diabetes Scale(以下ADS)の日本語版を作成し信頼性及び妥当性の検討を行った。信頼性については、内的整合性、再現性の検討を行い、妥当性は、構成概念妥当性のために因子分析、内容妥当性のために各種症状、HbAlc値との比較調査を行った。内的整合性および外部妥当性は、共に満足できるものであり、治療に対する感受性も高かった。この結果より、日本語版ADSは、目的1)の簡易版QOL調査票のストレスを測定する調査票として妥当であると考えられる。