2009 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児を持つ親の養育肯定感情を高める子育て支援プログラムの検討
Project/Area Number |
20592636
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
都筑 千景 Osaka City University, 大学院・看護学研究科, 准教授 (00364034)
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Keywords | 子育て支援 / 尺度開発 / 母子保健事業 / 評価 / 育児肯定感 |
Research Abstract |
現在までに作成した親の養育における肯定感情を測定する尺度を養育肯定感尺度(Positive Affection of Child-realing Scale : PACS)と改め、これを用いて現在自治体で行なわれている子育てプログラムの効果測定を行なった。対象はA市で実施されている育児に不安を持つ親を対象とした子育て支援プログラムの参加者13名である。参加者にはプログラム(8回コース)の参加前と参加後にPACSを組み込んだアンケートを実施し、前後を比較した。PACSは全16項目、「親役割における満足」、「自己の成長」、「関係拡大」、「家族関係の強化」の4つの下位尺度から構成され、レンジは16~70である。参加者には、調査の趣旨と匿名性の確保などについて十分説明を行い、承諾を得られた方のデータのみを使用した。プログラム内容は臨床心理士・保健師を中心とした自由形式のグループワークであり、「ここでの話はここだけにする」、「人の話を批判しない」などのルールを適用し、安心感を持って参加できるよう心がけた。研究者はオブザーバーとしてグループに参加したが、子育てプログラム内容に研究的な介入は行なわなかった。調査の結果、分析対象となった母親は13名、平均年齢33.5歳、平均子どもの数1.6人、第一子の平均年齢は2.4歳であった。また92%が専業主婦、すべて核家族であった。プログラム参加前のPACS総得点の平均値はら7.1±9.7、約4ヶ月後に実施した実施後は66.1±6.7であり、参加後に有意な得点上昇が認められた,下位尺度においては「親役割における満足」と「自己の成長」の得点について有意差が認められた。終了後の調査で得られた質的データでは、プログラム前と終了後を比較してほとんどの参加者が子育てについて前向きな思いや、親としての自分を肯定的に感じている等の記述がなされており、PACSの結果は妥当であると判断できた。これらの結果については研究チーム内で共有するとともに自治体にも報告し、PACSのバージョンンアップと今後のプログラムの検討に反映していく予定である。
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